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銀色のローゼンシア  作者: 鎮黒斎
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戦闘

戦闘


 ロボットはかなり固い構造体で出来ていた。

 アスカはロボットの腕についている長いアイスピックを避けながら接近し、ラングルードで一撃を見舞ってやったが全くそれを通さない装甲をしていた。頭部のようなカメラを狙って攻撃しても通用しない。   

 おまけに……


「爆砕陣!」


 この必殺技も大した効いていないようだった。


「なんて硬い構造体していやがる……」

ローゼンシアもヘリオス・チェレスタで応戦する。ヘリオス・チェレスタのレーザーは威力が高く、ロボットの装甲に少し凹みが入り、それなりにダメージを与えているようだった。


「私のはほんの少しは効いてるみたい……ね。でも頑丈すぎ……シャナガまだ開かないの!」


「こう言う時こそ焦らないのが肝心なんだよ」


 冷静を装っているがシャナガも必死だ。なんせこのままでは全員、そう……


――死ぬかもしれない。


 ロボットのガトリングガンをアスカはプログラムで作成したシールドで防御していた。

――威力が、そんじょそこらのセキュリティーロボットの攻撃より段違いに高い。

軍専用……殺すための兵器。アスカは冷や汗をかきながらもシールドを何枚も練成していた。

だが、それでもガトリングガンの攻撃は数秒しか防げなかった、アスカは走り回り攻撃を交わし、ローゼンシアのヘリオス・チェレスタの応戦もあり、銃口の狙いが反れていったのには助かった。


「シャナガ! まだか!」


 アスカが叫ぶ。

 ロボットの標的はローゼンシアに変わったようだった。腕についている長いアイスピックで突進しキャタピラ音を響かせる。

――ガシィィィンッ!――

 ローゼンシアは周りにある三機のヘリオス・チェレスタを自分の前に三角の形状に展開し、強力なシールドを張っていた。

 だが、強力なシールドと言ってもロボットの突進を止められるモノではなかった。


「あぶない!」


赤髪の少年、アブソリュートは身を乗り出してローゼンシアを庇い、急いでゴロゴロと転がり、キャラピラの下敷きになるのを避ける。


 「ありがとう」


 ローゼンシアはアブソリュートに礼を言う。


 「僕の責任だ、僕が……破壊する」


 ローゼンシアには聞えていなかった。アブソリュートが豹変したかのように片言で言っていた事を。


 「プロテクト解除に成功した、いつでもワープできるぞ!」

シャナガが端を切って言う。アスカとローゼンシアは急いでシャナガの方に走りこんだ。

そんな時だった、アブソリュートと呼ばれる赤長髪の少年がロボットの前に立っていた。


 「バカッ! 何考えてるの!」

 ローゼンシアは叫んだ。


 アブソリュートは、細い幾つか放射されたような稲妻状の、根本の部分は太い形状をしていた物を出していた。それは長くて黒い剣のアクディブ・デバイスであった。アブソリュートは右手に握る。

 


 「……え?」


アブソリュートはアクティブ・デバイスの出現に驚いた。無意識で出したのである。

……次の瞬間、信じられない事が起こった。

ロボットを真っ二つに一撃で粉砕したのである。

 二つに割れたロボットの形をしていたガラクタは、砂のように粉々に朽ちていった。

 これはロボットが“破壊された”と言う現れで“マゲナスの法則”に乗っ取ったルールである。……言わば、ロボットの死だ。


 三人は呆けていた。

――こいつ、強力なハッカーだ。

ローゼンシアはハッと目が覚めたように言った。


 「ワープしよう! 長居は無用よ」


 「そうだな、監視カメラをジャミングしたとは言え、軍の部隊もそろそろここへ来るだろう」


 シャナガも同意した。


 四人は、先程Wウェントールミリタリーインダストリーのソリッド・ファイヤーウォールに穴を開けたところまでワープゲートで移動していた。

 四人はそこをくぐり抜ける。

 

「逃げましょう、私達のアジトまで行くワープ転送の準備OK!」


「……ネタが全然掴めなかったよな。今回はタダ働きだ。」


――死ぬ思いをしてまで。

アスカは悔しすぎて、後悔と脱力感で一杯だった。


「ま、生きてるだけで見っけもん、って事にしようぜ!」


 シャナガは陽気に言う。


「あんたの思考が羨ましいぜ、元はと言えばあんたのいい加減な情報の所為じゃねぇかよ」


「いや、情報はあると思うんだけどなぁ……上手くいかなかっただけだ。でも悪いな、収穫もしないで危険な目に合わしちまった」


シャナガは、少しは反省しているかのように見えた。

ローゼンシアはみんなとは反して嬉しそうに言った。赤長髪の少年アブソリュートを見ていニッコリ微笑む。


「あら、収穫ならあるんじゃない?」


こうして四人は無事、自分達のアジトへワープするのだった。


 ウェントールミリタリーインダストリーの高層ビルの上で四人を、即席の隠しカメラの構造体でできた物で見ていた、四十歳くらいだろうか、白衣の男が見ていた。

 男は小さい声でこう言った。


「キース、05(ゼロファイブ)を頼む。彼に自由を与えてやってくれ……」


 そう呟きながら、きびすを返し、隠しカメラの構造体を消去する。


「さて、俺もお尋ね者だ、逃げるか」


 そういい残し、男も姿を消した。


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