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銀色のローゼンシア  作者: 鎮黒斎
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エピローグ

エピローグ


 ここはインテリゲンチア、ミラードは珍しく雲の下の階に姿を現していた。今現在二階にいる。

 あの事件以来、サイファは姿を見せていない。

サイファのアジトを訪ねに行ったアスカだが、既に全てが撤去済みで、何も残っていなかった。

だが、あのサイファの事だ。またどこかで“カウント・ゼロ”の名を轟かせているに違いない。

エスメラルダの行方もわからない……あれだけの傷を負って、アブソリュートをマザーコンピューターに転送させたエスメラルダ、命の炎が残っていたとは考え難い……。

 地上を見下げるミラード。そこにはアブソリュート、ローゼンシア、アスカ、シャナガの姿があった。

 ガーク暴走の事件は、テレビ放送でも中継されていたが、大事件にはなっていなかった。ただ、『正体不明ネット空間の歪みの謎に迫る』と電子書籍のニュースペーパーに書いてある。マザーコンピューターを管理しているインテリゲンチアの責任は免れないだろう。

アブソリュートがいなければ、もっと大事件になっていた……だが、それは現実化していない話。アークブレインと呼ばれているミラードだ。この程度の話、簡単に処理するに違いない。

ネット空間は、外部から剥がれ落ちそうになったらしい。

だが先も言った通り、被害は極小だ。ネット空間が歪む程度で済んだようだった。

ただ問題が一つあった。フォレスタの魂がマザーコンピューターの核に残っていたのである。

――フォレスタをベースに……その人格を備えたネットワークOSを開発するべきかな。新型のネットワークOSの開発は途中まではラザーズと協力して開発していたし……よし、何年かかるかわからないけど、そう言う事にしよう。

 ミラードは開き直って次なる目標を思案していた。


 「大仕事が舞い込んだ次いでに……参ったな。僕専用のセキュリティー部隊が総出で辞表を出してきたんだもの」


 ミラードは呆れて笑い声を上げながら横にいるロザリーに語りかけていた。


 「やっぱ、自由なハッカー生活が俺達の性に合う。給料はいいんだが、公務員はなんかピシッとしててなぁ」


 既にインテリゲンチアを出、外の空気を一杯に吸い込んでアスカが言う。


 「んだな。……お、そうだ。四精霊帝士に初めて会う前の……ほら、例のエルグランド社からハックしたデータまだ持ってた」


 アスカの背後にいたシャナガが、コートのポケットからガサガサとディスクを取り出し、嬉しそうに話をする。


 「さっすが! さっそく売って、今日はパーティー会しようよ! 絶対決まり! 誰にも文句は言わせませーん!」

 ローゼンシアが喜びながら回転し飛び跳ね、くの字に体を折り、着地して踵を返す。

 インテリゲンチアを出た一行を二階から見ながら、言葉とは裏腹に、ミラードの表情は嬉しそうだった。

 「ロザリー、君はどうする?」


 ミラードはロザリーに言葉を促した。

 ロザリーは緊張した面持ちながらも、ピシッとした言葉使いでしっかりと答えた。


 「私もっと勉強させてもらって、立派なオペレーターになろうと思います!」


 「うん、立派な心掛けだ。配属先は僕が考えておくよ。がんばって」


 「はい!」


 ミラードはロザリーを励ます。


「パーティーと言っても、なんのパーティかわかんないよ」


 ローゼンシアを見て、アブソリュートがちょっと不満気味に声をかけてきた。


「決まってるでしょ」


 ローゼンシアは顔の横で人差し指を振りながら、嬉しそうに言葉を発しようとしている。


「私達の再出発の……よ♪」





『銀色のローゼンシア』完


 ここまで読んでくれてありがとうございます。

 この話は自分のサイトの”鎮黒斎の館”の”導きの大地の”の7万年以上前のサブストーリー中のアフターサブストーリーとなっております。

 箇条書きでキャラクターの説明や世界の構成など書きたい事を並べているので、興味のある方はどうぞ見てください。

 まだ脇が甘い所があり、途中で編集挟んだりした事もありますが、最後まで付き合って貰えて楽しんでくれた方には大変感謝をしております。


 改めまして、読んでくれてありがとうございます。


 ”導きの大地”はとても長いストーリーになる筈なんですが、漫画なり小説なりして起こして、生涯をもってさせて完成させたいと思います。

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