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銀色のローゼンシア  作者: 鎮黒斎
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覚醒

覚醒


 『今回敵は、ベルーガ率いる軍勢のようです。位置座標出しますね。UIOP・875・231』


 ロザリーのサポートが入った。

 三人は既に揃っている。いつでも戦闘可能な状態だ。一先ず他のセキュリティー部隊達と連携を取り、ウイルス・ヘルハウンドの破壊に手を貸す。


 「こうウジャウジャいたんじゃ気持ちわりーったらありゃしねーな!」


 シャナガがとても嫌そうに言いながらも、ウイルス退治には懸命だ。


 「しょうがないでしょ。こいつら補助汎用機ぶっ壊しちゃうんだから」


 ローゼンシアも嫌そうな顔をしながら懸命にウイルスを駆除している。


 「僕がベルーガを探してくるよ」


 アブソリュートはそう言い、独断専行で行動を開始しようとする。


 「あ、また抜け出して! アリュー待ちなさい! 相手が悪いわ!」


 アブソリュート立ち止まり、そのローゼンシアの言葉に従う事にした。

 ――確かに。今の自分の力量ではベルーガには歯が立たない……。

行くだけ無駄なのだ。

 そう判断した。

 しばらく、三人はウイルス退治に専念した後ベルーガを探す事にする。ウイルスの数が減って他のセキュリティー部隊達でもやっていけそうだったからだ。

 すると例の如く、地から先鋭した巨大な構造体で他のセキュリティー部隊を串刺しにする人物を発見する。

 ベルーガだ。三人は身構え、戦闘態勢に入る。


「おう、05達じゃねーか。前は腕もがれたが、今日はそうはいかねーぜ」


 ベルーガの左腕は完全に再生していた。

三人は激しい戦いになるのを覚悟していた。


 ベルーガは流石に強い。アスカの抜けている状態では更に状況が悪化していた。

 ――敵は一人なのに。

 アブソリュートはそう思いながらも、ベルーガの激しい攻撃を受け流している。

 ベルーガのアクティブ・デバイスの手法は幾つかあるようだった。遠距離系で先鋭した巨大な構造体を地から物凄い勢いでこちらに向かわせる攻撃方法。これはアブソリュートのドラグーンでもかき消す事が可能で。他者の攻撃にも多少脆い性質を持っている。

 もう一つは腕に刃物のような結晶を纏わせる完全な接近戦の手法である。これが本来のアクティブ・デバイスなのだろう。ドラグーンでも消去不可能だ。

 しかし、その刃のような結晶が厄介だった。

 ベルーガの意思で伸び縮みするのである。

 最初、アブソリュートはその性質を知らずに攻撃を仕掛け、逆にベルーガの攻撃を受けてしまう形になってしまった。

アブソリュートの左肩に刃の結晶が襲いかかる。

 ――しまったッ!

 だが、その思考はもう遅かった。アブソリュートは左肩に結晶の刃を食い込まされた。


 「ぐぁッ!」


 アブソリュートは悲鳴を上げる。


 「05、油断したな。俺様の攻撃が何段階もある事を知るこったなぁ。ぎゃはははは」


 ベルーガは血飛沫をあげるアブソリュートを見て悦に浸っている。

 ベルーガがトドメとばかりに両腕の結晶の刃を振り上げる。


「アリューッ!」


 そこでローゼンシアはヘリオン・チェレスタを使ってサポートに入った。

 ベルーガはその場を離れる。

 即座にシャナガがベルーガを追いかけた。


「アリューの状態を見てくれ、これからの戦闘は俺が引き受ける」


 シャナガが炎の槍を振りかざし、ベルーガと取っ組み合いをしている。


「キース、05よりは楽しめそうだな。俺を失望させんなよ、ああ?」


 四精霊帝士エレメンタル・レイド、爆炎のキースと言われているシャナガ。四精霊帝士エレメンタル・レイドとして過去、幾重もの四精霊帝士候補達が四精霊帝士エレメンタル・レイドとして入れ替わっていた。入隊を果したシャナガは、他の四精霊帝士エレメンタル・レイドより戦闘経験が豊富であり、実戦的な物では他の四精霊帝士エレメンタル・レイドよりは部がある。

 が、今回は相手が悪い。シャナガがいた当時の四精霊帝士と違い、今の四精霊帝士はガークの実験で得られた実験体の事を言う。

これは、かつて栄華を極めた四精霊帝士エレメンタル・レイドの名が既に死んだ事を意味する。

中でも戦闘経験でも補えない程の性能を持った四精霊帝士エレメンタル・レイド・地のベルーガが今、目の前に立ちはだかる。

 シャナガが放つ、幾つかの火球の攻撃も全く当たる気配がない、巨大な炎を集めた槍の刃を練成しても、ベルーガは簡単に避けてしまう始末だ。

 そして、ベルーガの伸び縮みする結晶の刃に手を焼く。結晶の刃は今の所五メートルくらいは伸びるようだった。

 ローゼンシアはアブソリュートの傷口の具合を見ている。

 ――かなり深い。

 とても戦闘に参加できる程度の軽い傷ではなかった。

 シャナガの防戦もいつまで続かわからない。

 ローゼンシアに焦りの気配が見えてきた。

 しかし、なぜかそんな焦りとは別に、精神は安定していた。

 ――なんだか、今日の私……変。

 気持ちが段々安らいでいる自分に気がつく。



『……傷口に手を当てて……』



 そんな少女の声が心の中で聞えたような気がした。

 ローゼンシアはその言葉に従う事にする。

 するとどうだろう、アブソリュートの傷口が癒えてきているのだ。

 その動作をシャナガもベルーガも見て驚嘆する。

 中でもベルーガの表情は有頂天に喜び上がっていた。


「……銀色! テメーが“申し子”か! ギャハハ、今日は最高の日だぜ。やっと見つけたぞ“申し子”チャンよ」


「訳わかんねー事言ってんじゃねぇ!」


 シャナガが火炎の刃をベルーガに向ける。

 ベルーガは結晶化した腕の刃で受け止める。


「テメーらには知らなくて結構な事だ。いずれわかるぜ。俺様がその娘を頂いたらな、キャッホーッ!」


 そう言い、ベルーガは物凄いスピードでローゼンシアに襲いかかった。

 ローゼンシアのヘリオン・チェレスタの攻撃も全て避けきっている……しかしも、スピードは衰えない。

 ローゼンシアは自分を中心にピラミッド型にヘリオン・チェレスタ配置し、バリアを張る。

 ベルーガの攻撃を防いだ……かに見えた。

 だがなんと、ベルーガはそのバリアを結晶化した刃でこじ開けようとしている。


 「彼女には指一本触れさせはしない!」


瞬間、アブソリュートの剣がベルーガを狙って襲いかかっていた。


 「チッ、邪魔するんじゃねー、05!」


 ベルーガはヒラリと宙で体をくねらせ攻撃を避けきっていた。

 が、ベルーガの服が焦げている事に本人が気がつく。


 「ああ? なんだこりゃ?」


 そう言いながら、アブソリュートを見た。

 アブソリュートの剣は、高温の火が宿ったかような青白い靄がかかっていた。

 アブソリュートの剣が一段進化したのだ。

 ――今日は状況が悪い。

 ベルーガの直感がそう囁く。


 「ガーク様、“申し子”をみつけやしたが、捕える事は今できませんぜ。ゲートを頼みまーすです、愛!」

 ベルーガはウインドウを開き、そう連絡を取る。


 『でかした。我々の行動で、マザーの処理としての意思は薄れ始めてきているのは確かだ。“申し子”は日を改めて狙う事にする。今ゲートを開いてやる。撤収せよ』


 そうウインドウが語りかけてき、青いゲートは開かれた。

 前にアブソリュートがマーランドと戦った際に、ガークが出てき、帰った青いゲートだ。


 「お前ら、次は楽しみにしてろよ。ラストステージは近いぜ。ギャハハハハハ!」


 そう言い残し、ベルーガは去った。

 マザー補助汎用機は守られた。


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