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それは当たり前の日常

作者: ユウギツネ
掲載日:2016/09/25

「当たり前ってなんだっけ?」

「普通のことが普通に続いてるってことじゃないですかね」

紫煙を燻らせながら二人の男は言う。口に咥えていた煙草を指に挟んで、ぼんやりと空へ立ち上る煙を眺めた。

「じゃあ、普通は?」

「世間一般の平均値に合致してることとか、いつも通りのこととか」

「わかりやすく」

「んー、大勢の人がこうだろうって思うこと……かな?それがずっと続く日常が普通だと思いますよ」

「ふぅん」

年上らしい男は、自らの質問の答えにさほど興味が無さそうな声を出し、

「つまんねぇな」

と呟いた。

「そうですか?」

「予定調和じゃん、ただの」

「ええ、予定調和ですね。だからこそ平和なんですが。混沌だらけの日々なんて落ち着きませんよ」

いつも通りの日常を擁護し、やんわりと相手をたしなめる男に、もう一人の男は煙草を携帯灰皿に押し付けながら嘆息した。

「へいへい。お前は最後まで模範解答が得意だな。冗談も言えやしねぇ」

「自覚してますよ。先輩こそ、最後まで異端みたいなこと言ってますね」

互いに悪態をつきながら二人は笑う。そうして少し笑ってから、もう一度空を見上げた。

「当たり前ってなんだっけ」

先程と同じ問いは、血のように赤い空に吸い込まれていく。

「普通のことが普通に続いてるってことですよ」

先程と同じ答えは、終末のように崩壊した都市に広がっていく。

「じゃあさ、」

ぐおん、と重たい爆音が響いて、視界の先で炎が吹き上がった。凄まじい熱風とそれに飛ばされた瓦礫が、総じてこちらへやって来る。

「今、当たり前じゃないんだろうな」

「何言ってるんですか、当たり前ですよ。あれに呑まれたら死ぬっていう当たり前は達成できますから」

「あー、そっか。……やっぱり最期まで、予定調和だな」


直後に、熱風と瓦礫の嵐があった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ラストが衝撃的でした!こういう展開大好きです! 最初は、二人の質疑応答を、日常会話を聞くような軽い気持ちで読み進めていました。ですが、最後になって二人の状況が分かり、そこでようやく会話の…
2017/06/10 20:08 退会済み
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