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林檎を採ってから三日過ぎた。
「早く私を食べないの?」
林檎は蠱惑的な笑みを浮かべて誘う。私の反応を楽しむように。
「私は林檎なんだよ。大丈夫だよ」
そう言って林檎は手首にナイフを突き立てる。傷口からは血ではなく透明な果汁が流れ白い肌を伝う。
林檎の香り。
「僕は君を食べるつもりはないよ」
私はそう言って林檎に絆創膏を差し出した。
「あなた、青い人ね。良い意味よ」
「何が未熟だって言いたいんだい?」
「違うわ。あなたは青い色なの」
林檎そう言って笑い、私にキスをした。
「でも美味しいでしょ。私」
私は何も言えなかった。林檎はころころ笑いながら歌った。
Ŝi diris.
Vi estas travidebla.
Do mi vin amas.
Do mi ne estos verda.