しろい朝に
しろい朝に目覚めたら
昨日の旅人はもういなくて
夜明けの光に次第に薄れていく
寂しい星々のように
誰もが忘れてしまうのです
眩しい道に蝉の死骸が一つ
あんなにも姦しく鳴いていたのに
今は気に留められもせずに
いつもひとすじの川が流れています
留まることのない暗い流れに逆らうように
一匹の赤い魚が孤独に跳ねました
見たことがありますか
あなたの背中を
さよならと書いてあります
静かな明るさへ背を押すものとして
別れから別れへと導くものの名が
書いてあります
お読み頂いてありがとうございます。