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ジムに行くと、トレーナーの宮本さんという人が出てきて指導についてくれることになった。

最初はストレッチから。

宮本さんは60を過ぎていそうなのに、ピンピンしていた。


ストレッチで、身体を前に倒そうとするが、腹の肉がじゃましてうまくまげれない。

どちらかと言うと背筋のほうが得意だった。それでも人並み以下だけど。

座ってのストレッチも、腹の肉が邪魔やら、筋力がないやらで、ほとんどなにも出来なかった。

「本宮さん……焦らずいきましょうね」

宮本さんに慰められる。

「私、痩せれますかね?」

その質問に、やや間があって、

「本宮さんのやる気次第では、痩せるでしょう」

と宮本さんが返してきた。

私はそれを前向きに受け取り、

「頑張っちゃいまーす!」

と言った。周りが一瞬固まった。

え?なに?私なにか変なこと言った??


「では次に、基本としてウォーキングマシンにトライしてもらいます。最初はゆっくりでいいですから、やってみましょう」

言われて私はマシンの上に乗った。

最初はゆっくり……と思っていたら、思ったより速度が上がる。

「もっと、もっとゆっくりでいいですから」

と宮本さんは言うが、止まらない。

私は走っていた。

走るたびにお腹がぶよんぶよん動くのを感じる。

苦しい。まだそんなに経ってないはずなのに、息が上がる。

「本宮さん、落ち着いて、徐々にゆっくりに、あっ!!」

「あっ!!」

ついに私は転んでしまった。

マシンのあちこちに身体をぶつけた。

「痛った〜い!もうやだ!」

宮本さんを始めとする周りの空気が固まった。

「あらやだ。」

私も敏感にそれを感じとる。

空気をぶち壊してくれたのは宮本さんだった。

「本宮さん、焦らず、無理せずですよ!」

「はい!!」

宮本さんのおかげで不審に思われずに済んだ。今度から言葉遣いには気を付けよう。


今日は初日ということで、施設内の色々なマシンを見に行った。

胸筋を鍛えるマシンや、ボート漕ぎのようなマシンもあった。試しに胸筋を鍛えるマシンを触らせてもらったが、微動だにせず。

「おっもーい!これ、絶対無理くない?」

宮本さんはあはは、と笑うと、次にそのマシンを使う人に譲った。

その人はマッチョというわけではなかったが、普通にマシンを使いこなしていた。

それを見て感動する私。宮本さんはそのくらいで驚いていたらいけない、と足の筋肉を鍛えるマシンへ連れていった。そこでは女性会員もマシンを使ってトレーニングしていた。

これならできそう、と宮本さんにお願いしてマシンを使わせてもらった。三回目まではできたのだが、四回目には足がぷるって漕げなかった。


「本宮さんは、まず基本的な動きとストレッチ、ウォーキングから始めましょうかね」

宮本さんは私を総合的に見て言った。

息が上がっている私は、

「はい、よろしくお願いします」

と途切れ途切れに言った。


「毎日いつ来ていつ使ってもいいプランですからね」

「はい!」

「ジムは十一時で終了するので、そのつもりでお越しください」

「はい!」


なんだか、何も出来なかったけど、希望の光が差したように思った。


帰り道、スーパーで買い物をして帰った。鶏の胸肉やささみ、そしてサラダの材料。それらを購入すると、アパートに帰ってきた。

そして弁当箱を探した。

ない。どこにもない。


誠一郎に電話すると、弁当箱はどこにあるのか聞いた。

『そんなもん、ないですよ』

「明日からダイエット弁当を始めるのに、弁当箱ないんじゃ意味ないじゃん!」

『そ、そんなこと言われたって……』

「もういい!タッパーにいれていくから!」

『最初からそうすれば……』

「うるさい!」

誠一郎が言葉を発していたが、無視して電話をきった。

そしてパソコンを睨みながら、私のクッキングははじまったのであった。

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