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2 闘い

魔法で濡れた服を乾かしてやると、彼女は驚いた顔で俺を見た。


「この世界は、属性とか関係無いんですねぇ。勉強になります。

あ、もう乾いた」


ふむふむとあちらの世界の制服らしい、オレンジ色のスカートのポケットから何やら書き込んでいたケイは、その場でくるりと一回転すると、満足そうに微笑んだ。


「属性?」


俺が再び歩き始めたのを見て、ケイも後ろからついて来る。


「はいっ!私のいた世界では、そういった設定で小説が売られているんですよ」

「小説?」


何だそれは。


「え、この世界にはあんなに素晴らしいものがないんですか⁉︎」

「すまんが、聞いたことないな」

「はあ・・・・・まあ言わば虚構の物語を本にしたものですよ。物語は分かりますよね?」

「ああ、わかる。」

「物語が、全て人の想像で出来ているものを小説っていいます。まあ、定義されているだけで、結構曖昧なんですけどね」


空想上の物語が、小説ということか。


「で、それで属性がなんだって?」

「属性ですか。私もあまり覚えていないのですけど・・・・」


そんな話をしながら学校に着くと、校門前で仁王立ちしている金髪の少女がいた。


気づかないふりをして歩き去ろうとしたら、フルネームで呼ばれ仕方なく立ち止まる。

ケイが不思議そうに耳打ちしてくる。


「知り合いですか?」

「知り合いじゃないが、同じクラスの成績上位者だ。

あいつは確か召喚を成功したはず」


確か、水の特性を持つピクシーと契約していたはずだ。

あいつら、好戦的なんだよなー。

そのピクシーと契約したなら、恐らく俺を呼んだ理由は・・・・・。


「わたくしと戦いなさい!ハル=ハーヴェス!」


「断る」


何で、負けるとわかっている試合を受けなければならない?

てか、初めて見たぞ。自分をわたくしなんて呼んでいる奴。


「好戦的な人なんですねぇ」

「奴を見つめすぎると、矛先向けられるから気をつけろ」


ケイが何やら面白そうにつぶやいたので、警告してやると慌ててそっぽを向いた。


「はっ!あなたに拒否権はなくてよ」


無視してやった。

校門を過ぎた後も、周りの視線が痛い。

ああ、後からすごいことになるんだろうなー。









「お、ハル。マリナがなにやら叫んでいたな。相変わらず運の悪いやつ」

「全くだ」


教室に行くと、俺の悪友で成績下位組のウリスがいた。

こいつも、俺と同じく召喚に成功した奴の一人だ。


「その子がお前が召喚したケイって奴か?」


俺に続いて同じように教室に入ってきたケイをウリスはじっと見つめた。

あまり見つめるなよ、おびえているじゃないか。ただでさえ顔怖いのに。


「初めまして。え、えと、よろしくお願いします?」


おびえながらも、挨拶したケイを見て、ウリスがにやにやし始めた。


「お前手をだ「それ以上は言わせねえよ」

「?」


そこで、先生が来たため、ぱらぱらと周りの人間は席に着き始める、

ケイのことは昨日のうちに話してしまっていたので、このクラスに在籍する事になっている。

机もちゃんとあるため、その場所へ行こうとすると、ウリスは彼女を呼んだ。


「そういえば、その袋の中身は?」


昨日も持っていたよね?とウリスが続ける。

ああ、と深紅の袋に入ったそれを大事に抱えている彼女は、嬉しそうに微笑みながら言った。


「家宝です。まあ、まだ扱い切れていませんけどね」













学校内のグラウンドで、俺はマリナと対峙していた。

蒼の瞳が俺を嘲笑っている。

隣には、ケイ。

事情をよく呑み込めていないらしいが、嫌な予感はするらしくしきりに俺の背を見ていた。


「さあ、始めましょうか」

「お前の都合で勝手に始まってたまるか」


どうしてこうなった。


数分前今日の授業が終わり、帰ろうとケイを呼んだ時だった。

いつの間にかマリナが俺の肩に手を置いていた。


一瞬、重さを感じ、気づくとここにいた。


そのあと、ケイもつれてこられたわけだが・・・・・。


「強制かよ」

「あら、わたくしの話を聞かなかったあなたが悪いのですのよ」

「それは責任転嫁だ」

「えーっと、何でここに?」


遅いぞ、ケイ。


「いいか、ケイ。俺は負けるために動くから、お前を守ることはできない。だから奴の攻撃を全力で回避しろ。あとは勝手に負けるから」

「え、え?」

「よしはじめようか、マリナ」


彼女が何か言ってくる前に、マリナに声をかける。

下手したら、彼女に止められるかもしれないからな。


「はっ、覚悟は決まりましたのねっ!行きますわよ」


根っからの闘族である彼女は、まずはじめに巨大な魔法を仕掛け、それから小出しをするタイプだ。

近接攻撃が好きなので、近づいてくると脅威だが、魔法は狙いを定めることが苦手なため、それほど強くはない。

この魔法学校に入ったのも、全ては戦いのためだったりする。


マリナが大きく腕を広げ、振り下ろすと、水の弾が大量に俺に向けて飛んでくる。


俺は、それを躱すことはせず、ただそこに立っているだけ。

弾をよく見る。それだけだ。


「ハルさん!?」


ケイが悲鳴のような声を上げたが落ち着け。

俺はこの程度の攻撃では、やられないから。


「防げ」


水の弾が俺の周りに着弾するが、俺自身にはかかっていない。


「相変わらず防御だけは得意なのですのね」

「まあな」


俺は、防御魔法しか使えない。

攻撃魔法や基本魔法で俺に合うものがなかったのだ。

だから、基本魔法のテストは大抵重要だし、実技の際には攻撃できないと勝つことができない。

俺は、仕方なく最下位に甘んじるしかなかった。

ケイの服を乾かしたのは、中級魔法の風を使う防御魔法。

防御魔法は属性がついているものが多いため、そういった日常生活においては支障はない。

まあ、基本魔法は筆記試験だから、勉強しようと思えばやれたため、言い訳になるようなものではないが。


ケイは、目を見開いてこちらを見ている。

多分、凄いだとかかっこいいだとか言いたいのだろう。

感情が表情に出やすいやつだなー、なんて思っていると、肩に衝撃が走った。

じくじくと痛むそこを見ると、なぜか血が出ていた。


完全に防いだはず。


しかし、俺にだけ見える防御魔法が作り出した盾はひび割れていた。

何だ?マリナの魔法は、そこまでの威力はないはず。


「キキッ」


ピクシー特有の甲高い鳴き声が、耳に届いた。

まさかと思い、目線をマリナに向けると、その隣に水色の体を持ったジェル状のなにかがいた。

ピクシーなんて本の中でしか見たことがなかったが、そんな姿をしているのか。

うごめいていて気持ち悪い。


「さあ、やっちゃいなさい!ルーグちゃん!」


まさか、もう隷属させてしまったのか!

ピクシーは、波打つ背中をこちらに向けて、何かを放とうとしている。


あれが恐らく俺の盾を貫いた攻撃。

だから、召喚獣は嫌いなんだ。


理が違うから。


「何なんですか」


低い声がして、後ろを振り向く。

そこには袋をぎゅっと握り締めたケイがいた。


そういえばいたんだったなお前。

俯いているので顔が見えないが、大分ご立腹のようである。


「私の目の前では、誰も傷つかせません!」


彼女はこちらに歩きながら、深紅の花柄のついた袋を地面へ放り、その中身を見せた。

持ち手のついたそれは、その先が深紅の硬い何かで覆われており、長細かった。


「やっぱり刀は珍しいのですね。小説が無かった時点で何と無く気付いてはいましたけれど」


そういって、ケイは刀と呼ばれるそれを弄びながら、マリナに近付いた。


「はっ!あなたに私の可愛いルーグちゃんの攻撃はかわせませんわ。勝負ありましたわね」


ほっほっほ、と高笑いする彼女を見て、焦りが出る。


「危ないからやめろよ!」


しかし、彼女は微かに笑っただけだった。


「大丈夫ですよ。私は、負けません」


自信たっぷりに言う彼女に、これ以上いうのも時間の無駄だと思った。


だから、一言だけ。


「存分にやれ。もう二度と俺らに近付くことがないようにな」


「了解‼︎」


ケイは、刀を構えた。


それと同時に、マリナが攻撃を開始する。







話が分かりにくいなーと思う訳なのよ。


慌てて投稿したから誤字脱字多いですんで、発見次第報告よろしくお願いします。





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