6,別れた理由
何言ってるの?司…。
司が…まだ私のこと好き…?
嘘だ。それならどうして「別れよう」なんて言ったの?
分からないよ…。
「何で…?司から『別れよう』って言ったじゃん…」
「ごめん…あの時は言うのためらったんだけど……今話しても良い…?」
私は黙って頷いた。
近くに麻衣ちゃんと小鳥遊がいたけど、気にしている余裕なんて無かった。
「…海真のバド部は恋愛禁止なんだ」
そう言って視線を落とす司。
え……恋愛禁止…?
それで…『別れよう』って言ったの?
「……それが理由?」
「うん…ごめん。入部するまでは付き合ってようと思ってたけど…合格したって分かった時に、けじめをつけようと思って…」
じゃあ司は…中学生の時から海真のバド部が恋愛禁止って知ってたの?
そんなこと一言も言ってくれなかった。
「…私より…海真でバドする方が大事だった?」
「……雅…」
どうして恋愛禁止だって言ってくれなかったの…。言ってくれれば…『引退するまで待ってる』って約束したのに…
「言ってくれれば…司が引退するまで待ってたのに……」
「ごめん…雅を縛り付けるようなことしたく無かった」
「じゃあ私が他の人と付き合っても良かったの!?」
吐き出すように出てきた言葉。
絶対泣かないつもりだったのに、涙が流れてきた。
「…雅よりバドを取ったから…『待ってて』なんて偉そうなこと言えないし…雅が他の男と付き合うって覚悟した上でバド部に入ったから…」
初めて知った司の気持ち…。
ここまで言われたら、もう私は何も言うことができない。
「……もういい。私はもう司のこと…ただの同級生としか見てないから」
視線を司からそらすと、司は「分かった」とだけ言って戻って行った。
「雅ちゃん…」
麻衣ちゃんが駆け寄ってきた。
そっか…全部見られちゃったんだ。
麻衣ちゃんの優しい表情を見て、さらに涙が溢れてきた。
悔しくて、悲しくて、腹立たしくて。
司にとって私は何だったの…?
何のために私と付き合ったの…?
「麻衣ちゃん…やっと、けじめをつけられそう…もうきっぱり司のこと忘れるから」
「うん、雅ちゃんなら大丈夫だよ」
麻衣ちゃんは優しく抱きしめてくれた。
もう司のことで泣くのは今日が最後。
明日から、また頑張ろう。
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