表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

Depressed -灰色の戦記- 第一章:悪魔と約束と

作者: 家ン人

19世紀、イギリス。

'力'が人々を突き動かした激動の時代。

力を求めて戦う者。

防弾、剣の音に怯える者。

ただ、ひたすらに逃げて行く者。

そして、死んでいく者。

死体と血の色、爆風の音。防弾の光。

悲鳴と涙だけが渦巻いていた。

-革命時代-

イギリス国家は他国を制圧し、支配するため

機会工業発達に力を入れ、

人々を武器として使い捨てた。

国家の一人、バールを筆頭に進んでいく

この計画はイギリスを世界最強という

異名にまで導いたが人々は震え上がった。

「民衆機械化計画」

人間を機会に改造し、人造人間として

数多の軍隊を作り上げていた。

それから10年、とある子児院。

地下最深部に監禁された少年。

彼には名がなかった。

生まれた時には親が国家の餌食となり、

人造人間となった。

天涯孤独の彼は国家の警戒により

監禁されていた。

係員の中にも少年を恐れる者も少なくなかった。

「院長、あのガキですけど」

係員が声を震わせて言った。

「ハハッ、怖いのか?」

「いやマジ冗談じゃないですよ。」

院長は彼を面白がっていた。

「10年も担当してるくせして」

「だって、赤ん坊の時は親指みたいに可愛いかったのが、今じゃ無言で昼食の果物ナイフをボケ~っと見てるんっすよ。」

すると院長の顔付きが変わった。

二人はどんどん地下の階段を下りていく。

「もしかしたら、気づいてるかもな」

係員から冷や汗が流れた。

「どういうことですか?まさか機械化計画のこと」

「あぁ、いずれ自分達が国家の武器になることも、親が機械にされたことも」

係員の息は徐々に荒くなる。

冷や汗と共に天井の水滴が一粒落ちた。

「…それ、ちょっとまずくないすか?」

二人はドアの前で立ち止まる。

院長はため息をついた。

「本当にそうなら、厄介な事になる前に抹殺するしかないな。」

院長はドアを開けた。

二人の顔は少し凍り付いた。

生きているのか死んでいるのかわからない。

まるで生死の狭間をさまよっているかの

ような目をしたしような椅子に座った

少年が果物ナイフを右手に握りしめ

なにかブツブツと呟いている。

妙な雰囲気が部屋中に漂う。

「い、院長、後からでいいんじゃないですか?」

係員の言葉に耳もくれず院長は消費の方へ

歩みよる。

「ボク、昼ご飯だ。食べなさい。」

少年はただただ呟く。

「ここに置いておくからね。」

(カチャン)

院長が床に置くと少年の目は院長に向いた。

院長は少し後ずさる。

「ハ、ハハハッ、何を喋ってたのかな?」

少年は目線をナイフに戻し、口を割った。

「今ね、悪魔と喋ってたんだ。」

院長は息を飲んだ。

少年はそれに気付いたのか、院長を見た。

「何を喋ってたか教えてあげよう、か?」

「……何を喋ってたの?」

「約束したんだ~」

「約束?」

「うん、院長さんとね、ここにいる人達を殺すって………。」

院長の顔と心があべこべになった。

さっきまでナイフを見ていた少年の

目は院長の目を見つめていた。

その顔は少し笑っているようにも見えた。

「と、とにかく早く食べるんだよ。」

院長は足早に去った。

二人はドアを閉めると、

暗い廊下を歩きだした。

「院長、大丈夫ですか?」

「あぁ、あれは早めに手を打たないとな、あの方に言おう。」

「あの方?」

院長は余裕の表情を浮かべた。

だがその表情は恐怖しているようにも見えた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ