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エピローグ①

クリスマス・イブ。

 村崎邸屋根裏。

 村崎メグミコが企画したクリスマス・パーティに集まったのは、仲春カノン、花升エナガと私の四人だった。エナガは警察で取り調べを受けた後、釈放され、メグミコの氷付けのエロゲを巧く解凍してから、村崎組の魔女になった。連日、アンナの厳しい躾に根を上げては、私のマンションに逃げてくる。エナガが来るのはいつも唐突だから、カノンが私のベッドにいて、二人とも睨み合うという修羅な状況は、なんていうか、日常だった。

 夕方から始まったパーティは、プレゼント交換も終え、すでに佳境を向かえていた。私の浮気症をなんとかせねばという議論が白熱している。

不毛な議論だ。

私のことをモラルがないと言っている。

モラルが欠如していると、メグミコは拳を握って訴えている。

じゃあ、モラルがない私を好きなあなたたちは何?

それに。

なんだか楽しそうだよ。

私は彼女たちを尻目に、クリスマス・イブも休まず働く汎野マリに「会いたい」とふざけたメールを送る。最近のマイブームはマリに求愛メールを送ることだった。返信がいつも、楽しいからだ。それに最近、二十度くらい、マリに傾き始めているのは事実だった。

 そして。

 私は少し離れた場所で屋根裏の窓から星を眺めていた。

 純白のブランケットに腕を絡めながら。

 マリは私のブランケットをスーツケースに仕舞わなかった。空閑はスーツケース。シー・サーペントは消えた。ブランケットも白くなり、バーストの問題はないから、マリは許可をくれたのだ。

 ヴェルベット・ギャラクシィ・ブランケット。

 このブランケットがあの夜。

 私に何をしたのか、私は知らない。

 私はでも、確かに一度死んだのだ。

 冷たい空気にやられて、死んだのだ。

 でも、私は、もう一度、目を開けた。

 ブランケットが何かしたのは、真実だ。

 カノンは風が吹いたと言った。

 それだけ。

 那珂島ナナから南蘋型録に記載されたブランケットの情報を聞いた。しかし、それはすでにマリから聞いた情報で、私が目を開けた理由について分かることはなかった。

 分かることはなかったが。

 私は疑ってはいなかった。

 もしかしたら、ママを殺したのはこのブランケットかもしれない。

 でも、それが、なんだと言うのだろう。

 ブランケットが何かをして私の目を開けさせたから、そう思うんじゃない。

 ブランケットが憎しみを奪い去って、今の気持ちを形成しているのだとしても、それがなんだと言うのだろう。

 確かなことがある。

 このブランケットは私の気持ちと連動して。

 回転して、光った。

 そして。

 エナガを掬った。

 それだけで私は。

 ただブランケットを抱き締める、この行為を。

 好ましく思う。

 私は望遠鏡を覗く。

 月がよく見えた。

 そういえば、前、見えた銀河は一体、なんだったのだろうか?

 スマホが震えた。

 黄昏タイム終了。

 マリからの返信。「ケーキはまだある? ベニの分と私の分」

 明日二人もピクチャレスクに連れて行こうと、スズは企んだ。



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