表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヴェルヴェット・ギャラクシィ・ブランケット/甘い口どけ髪は紅  作者: 枕木悠
第三章 恥ずかしがり屋のガールズ・オンリィ
34/60

第三章⑫

「ごめんね、ナナちゃん」大壺は言って、窓から那珂島に手を振り、純白のシトロエンを走らせて去る。

 また魔女狩りが起こったのだ。大壺は沸田と莱木のところに向かった。大壺は優しい。那珂島はまだ病室のベッドで眠っていると伝えてくれると言った。今の那珂島は、フリーだ。

「あれ、二人は?」

 後ろのガレージからマリの声がする。ここはピンク・ベル明方支店の前。二人は普段ココで寝泊まりしているらしい。一階がガレージで、二階が事務所、三階に何があるのかは、まだ聞いていない。マリとベニはガレージから二階への階段を登っていった。

「凄いですね、ポルシェですよ、」隣に立つ誉田が言う。「一体いくらくらいなんでしょうね?」

 那珂島はガレージに停めてあるポルシェに近づき観察する。色は赤。紅だ。誉田も一緒になって眺める。流線型の無駄のないライン。車体の表面は光沢を放つ。車高が低い。乗り込むとき頭をぶつけそうだと思う。

「私はやっぱりダイハツがいいなぁ、ポルシェもルノーもいいけど、ダイハツのミゼットを越えるものはないね」

「キャブズって儲かるんですか?」

「タクシよりは、儲かるんじゃないかしら、」那珂島は内装を見ながら返事をする。ステアリングはレーシングカーのように小さく、輪の上下が途切れていた。「ほら、私も高校生の時、宅急便をやっていたけど、普通の宅配業者よりも格段に早いから結構料金は高かったよ」

 マリとベニは階段から降りてきた。ベニはドラムバッグをポルシェのリアトランクに積む。マリは手ぶらだった。

「あれ、マリちゃん、荷物は?」これから一度村崎邸へ寄ってアンナたちから話を聞いてから、自宅へ戻る予定だ。

 マリは首を竦めて真っ赤な舌を見せる。「また今度取りに来ます」

「キーは?」誉田がマリに聞く。

「あ、え、あなたが運転するんですか?」ベニが声を出した。車のキーはベニが持っている。

「いけないかな?」

「いえ、」ベニは首を横に振って、俯き加減で言う。「傷つけないで下さいよ」

「うーん、そう言われると、自信ないなぁ」

「私が運転する」

 那珂島は言ってベニからキーを受け取る。ストラップには拳くらいの黒猫のぬいぐるみがぶら下がっている。黒猫は白い眼帯をしている。一体どんなキャラクタなんだろうと思う。「このキャラクタは何?」

「ビシャモンテの弟子のブラックソルトです」

「へぇ、」那珂島は何がなんだか分からなかったが頷く。「可愛いね」

「え、」ベニは目を大きくして驚く。「可愛いですか?」

「え、可愛くない?」

「はい、可愛いですよね、」ベニは嬉しそうに首を縦に振った。「誰も分かってくれなかったんです、こんなに可愛いのに、マリちゃんは全力で否定するんです、こんなに可愛いのに」

「私、キティちゃんしか認めないの」マリは高飛車に言った。

 那珂島は無言で近づいていってマリの頭を撫でた。無性にそういう気分になったのだ。

「え、あ、ちょっと、何するんですか?」マリの表情は困惑していた。「いきなり、訳分かんない」

「さて、」那珂島は幸せな気分になって深呼吸した。「行きましょうか?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ