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3話 お電話ですよ

 なんか聞き覚えのある声が聞こえる。

う~ん誰だっけ?寝起きせいか頭がぼーとする。

もう一眠りしたいが本音だが。

欲求には人は勝てないもんねっとまた瞼がとじかけようとしたとき「山野」って声が聞こえた。

どこからっと思っていたら自分が持ってる四角い薄っぺらい機械からだ。

その機械から男の人の声で私のこと呼んでる?ような……。はて?山野って呼び捨てにする人は確か――――。


・・・・・・伊達くんくらいしかいないなぁ~~~。


(うん?・・・・・・・ってあの伊達!?)


ぼーとしていた頭が一瞬で冴えてベットから勢いよく飛び起きた。がベットの端にいたのに気づかず、支えていた手がずるりと滑ってドンと大きいな音をたてて落ちた。

声にならない痛さに悶絶しながらも電話を取る。


「ぃっ~~。ぁっもしもし?」


「山野!!大丈夫か?なんかすごい音が聞こえてきたけど」


「あぁ大丈夫!大丈夫!気にしないで!!」


恥ずかしさに体が熱くなる。心臓も飛び出るくらいバクバクと音をたててうるさいくらいだ。


(ヤバい!!まじでテンパった。よくわからないけどなんで今電話してくるわけ!!)


頭が混乱して事態の収集が掴めない。

動き始めた脳で必死にフル回転してみるものの「えっと」や「その」などを口にして空気に消けてしまう。

全く意味をなさない。


(どうしよう。言葉繋がらない)


伊達くんは気を察したのか、


「もしかして忙しいときに連絡入れちゃったか?ダメならまたかけ直すけど?」


「いやいや!!大丈夫よ!!ちょっとびっくりしただけだから。あはは」


伊達くんのなんとか気をそらせたいくて笑ってごまかした。のにかかわらず心配そうな声で「本当だな?」と確認してくるあたり律儀な人だなっと思った。

もっと堅物な感じなのかと思ってたから、人って関わってみないとわからないなぁっと痛感する。

でも何故そこまで気を使ってもらえるか私的には謎だったが。

とりあえずいい人って事でその疑問を抑えた。


「山野?」


また上の空になりかけたときに伊達くんの声が聞こえてくる。


(って考えてる場合ではないよ!!)


私は息を調えてから、「うん。大丈夫」と答えた。

あの間が怪しまれなきゃいいけど。


「よかった」


向こうから安堵の声が耳を通る。

よく考えれば伊達くんも意外に緊張してたのかなと今更思う。

電話って友達でも緊張するときもあるし、今回は初めて電話する相手だから尚更するはず。だから丁寧だったのかと自分的に納得した。


「山野。場所変更ってメールで読んだが」


「その……。友達のお連れさんがどうしても行きたいから一緒に行こうかみたいな話になっちゃったの」



「そう」


伊達くんが頷いたあとわずかだが沈黙が流れた。たぶんわずかだった。だが気まずい空気が耐え切れずつい、


「やっぱりだめだった?」


「いやそういうわけじゃないけど。その……。やっぱりなんでもない。大丈夫行けるから」


「そう。よかった」


一様安堵した。

これで行けないと言われたら美穂ちゃんを悲しませることになるんだもん。それは避けたい。


「ところで待ち合わせだけど。新宿駅だよな?」


「うん、そうだよ」


「山野たしか最寄り駅は本厚木だったよな」


「えっそうだけど。それがどうしたの?」


変な質問してくるなと思った。私の最寄り駅なんかどうでもいいではないか。

なんかいやな予感がする。直感的に感じた。(私的にだけど)

でもどうせ私が聞いても、聞かなくても同じだろうからあえて聞いてみたが。


「駅同じだから一緒に行かないか?」


「えっ」


思わず、上擦った声を上げてしまう。

口元も引きつってしまった。これがまだ電話でよかったと安堵しつつ。

絶対あの喫茶店でこの話していたら洒落にならないくらい失礼な表情をしてしただろう。

鏡がないが自分がひどい顔をしていることは容易にわかるくらいなのだから。

どう断ろうか、又は引き受けるとしてもどうしようか悩んでいると、


「いやか?」


電話から伊達くんの声のトーンが下がる。

自分が曖昧すぎたために相手を不安にさせてしまったみたいだ。

自分の失態に気づいて私は急いで、


「そっそんなことないよ!!大丈夫だよ」


声を張り上げて言った。煩いくらいに。

自分が相手側だったら耳を押さえそうなほどだったと思う。

すると吹くような笑い声が耳に入る。


「そんなに慌てなくても。でもよかった。じゃ9時に本厚木のホームで」


爽やかに笑う声がなんだかむず痒く感じる。

でも伊達くんを安心させられたみたいだ。一様……。

ほっと胸を撫で下ろして、


「うん、わかった」


私は頷いた。






場所と時間が決まればすぐに電話は終わった。

週末まであと数日。

あとは私がどう乗り切るか。来てほしくないが願ったところで時間は止まることはないのだからどうせならドンと構えていよう私は心に強く想って決めた。


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