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痛き苦しき大雨止まぬ

 五穀尽き無慙の有様、迫るは先も長き暗夜。犬や猫など飛びて、親が子を喰らふ、それはそれはいとほし。ありし農村では、北方より持ちく悪し黒き鬼神を祀るへして、なんとも愚かな農村がなりけり。おどろおどろし黒き鬼神をこの身にて誘い込むなど、あさましく、むくつけく、恐ろしかり。飢え、ひだるし、口も渇きにけり、されとて邪な者を誘るては愚かしき振る舞ふ。黒き鬼神とのちぎりをひとたびでも交わせば、それは百代とも逃れられぬ。肉爛れ、白骨に囲まれし奈落、この世のものとは思えぬ。黒き鬼神への捧げとし、乙子つかうまつるといふ。あゝ、なんとも愚かなり。さることをしたらば、常の大雨も、邪なる黒き大雨へとうつろふならむ。並び続く死せし人々の亡骸、弔ふこともなく、黒き鬼神へと捧げたりて。人の頭蓋を盃とし脳味噌をまぜたきて、黒き鬼神と同じく、すするらむ。なんとも近寄りがたし。いつしか必ずや、己に返りく。

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