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季節のかわりめ

作者: 飛鳥

 春は煌びやかで、咲き誇る梅や桜は、美しく華やか。蝶々が飛び回る季節でもある。その自然に彩られて、卒業式や入学式が行われる。私はこの春、入学した。満開の桜の下で。 

 少し日が経つと、散ってしまう桜。道一面に、花びらの絨毯が敷かれたようにピンクに色付けされる。通学路に桜並木があるのだが、その絨毯を踏みながら歩くのは、なんとも言えない寂しさだ。


 新緑の季節は、木々が生き生きとして、植物の強さが見えた。透き通るような緑に包まれた辺りは、夏への道を歩いて、もうそこにあるように、近づいている。


 梅雨は雨粒が美しい。植物は雨粒にあたり輝くその姿が、まぶしい。学校への通学路に時々落ちている葉は、踏まれてぐちゃぐちゃになって。鞄が雨に濡れて。

 6月のある日。いつものように学校に登校する。私が通う学校は、少し遠いところにあって、毎日電車で登校する。そこからたくさん歩いて、ついに着く。いつもよりも暑くて、いつもの雨よりもあったかい気がする。

 7月。この時期は雨がたくさん降る。傘は大きいものを持って出歩かなければならない。夜、空に浮かぶ星々は、ひとつひとつ力強い。でも、光が弱い星も、どこか頑張っていて、美しい。

 梅雨明けとともに、暑さがやってきた。そろそろ夏が始まるようだ。


 夏は風鈴の音がきれいで、風は潮の匂いがする。蝉は鳴いている。川のせせらぎを聴く。強い日差しに照りつけられながら、ほのかな秋の匂いを早く感じて、暑さから逃れたい自分がいる。夏休みだというのに、

暑くて何もできない。家で扇風機にあたりながら、宿題をこつこつと進める。

 立秋を過ぎて、日の照る時間もそろそろ短くなってきたであろうか。暦の上では秋とはいえ、この暑さは厳しく、何もする気力がわいてこない。

 

 秋は虫が鳴き、月が綺麗だ。中秋の名月を見ながら、秋を感じるのはよい。涼しい秋に、私は学校に通う。制服の上にカーディガンを着て、通学路に落ちている落ち葉をパリパリ踏みながら進む。夜には虫の鳴き声が一層響く。まだまだ、秋の始まりだ。

 10月、北海道の初雪はこのころ。

 11月。立冬を過ぎたがまだ冬の気配はない。日々、落ち葉が散っていき、寂しさを感じる。山の方では、美しい紅葉を見れるようだ。だが、下旬になると冬が近づいたように、寒くなる。

 

 冬は雨粒が雪に変わり、梅雨の時期と同じように輝く雪を見つめる人もいれば、雪の降らない地域ではマフラーを巻いて歩く人、コートを来て歩く人もいる。

 朝、布団から出れなくて困った私。寒さで学校にも行きたくなくなる。早く夏が来ればいいのに。あの暑い夏を想像して、少し羨ましくなる。

 家にこたつがなかった私には、こたつを持つ人が羨ましかった。うらやましい、ばかりだ。

 立春が来たが、まだ、さむくて、さむくて。


でも、私はこれでいいと思った。あっという間に春が来て、夏が来て、秋が来て、冬が来て。また春が来る。そんなの、いいと思った。

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