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第八話 国民の幸せ(国王視点)


※※※


 デビュタントの会場を後にした私は余韻に浸りながら執務室に戻った。


 フェアリアル王国250年ぶりの慶事。私の代に精霊王の愛し子が現れてくれるとは幸甚の至りだ。


 精霊王の愛し子が現れた時代は、どの時代でも大きな天変地異が起きることがなく、作物はより豊かに実る素晴らしい世になる。


 思い返せばベネディクト嬢の生まれた頃から今日まで大きな天変地異は起きていない。……いや、あの頃北西部で大きな地震が発生しなかったか?私は宰相に念の為確認することにした。


 使用人に宰相を呼びに行かせ、しばらくするとコンコンと部屋の扉を叩く音が響く。


「入れ」

「失礼いたします」


 入室してきた宰相に、今から16年前の地震のことを確認する。16年前には既に宰相として、その時の対応に当たっていたからだ。


「はい陛下。おっしゃる通り、16年前に北西部の村で大規模な地震が発生致しました」

「16年前のいつ頃だ?」

「はい。16年前の春頃でございます」


 春か……ベネディクト嬢が生まれたのも16年前の春だ。地震の発生日とベネディクト嬢の誕生日、どちらが早かったのだろうか?


 宰相にそう尋ねると、地震の翌日にベネディクト嬢が生まれたという。


「そうか!いや杞憂であったな。ご苦労。下がれ」

「かしこまりました」


 宰相が部屋を出ていくと、私は椅子の背もたれにゆっくりと身体を預けて深く息を吐いた。


 そして改めてベネディクト嬢が精霊王の愛し子であること実感し、その幸せに浸る。


 これでベネディクト嬢が生きている間、天変地異で国民が苦しむことはない。より豊かに実る作物のおかげで飢えに苦しむものもいないだろう。


 少しでも長くベネディクト嬢が幸せに生きてくれることが、国中の民の幸福に繋がる。


 そのためにも1ヶ月前、ベネディクト嬢が精霊王の愛し子と判明してすぐに護衛をつけようとしたのだが。


「私には四大精霊がついておりますのでご心配はいりません」


 と断られてしまった。確かに四大精霊以上に強いものは精霊王しかいない。その精霊王の愛し子がベネディクト嬢であるということは、ベネディクト嬢に傷をつけられるものは最早この世にはいないということだ。


 ベネディクト嬢が四大精霊と契約をしたことで、ベネディクト嬢の安全は約束され、ひいては国民の幸せも約束されたということである。


 だがしかし、精霊王の愛し子の影響に慢心せず、より民が豊かに暮らせるよう私も精進せねばならない。


 それがこの国の王たる私の役目なのだ。

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― 新着の感想 ―
“私の代に精霊王の愛し子が現れてくれ”たのは事実なだけに、国王が不憫だな >地震の翌日にベネディクト嬢が生まれた なるほど、凶事の前触れで地震が起きたんですねw
[一言] 今回の事件の主人公以外での被害者1号(まあ有る意味国王何で責任が一番有るんだが)。
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