三章:異界からの侵略者
煌朧の櫂が団結を取り戻した頃、都内では不穏な事件が頻発していた。
異界の者と思しき怪物が、次々と人々を襲っているのだ。
「これは明らかに、ただの怪異ではない。背後に、何者かの意志を感じる」
蒼真は、事態の深刻さを察していた。
煌朧の櫂は、異界からの侵略者の調査に乗り出す。
蒼真と小雪は、その先陣を任されることになった。
「蒼真さん、私たちなりに頑張りましょう」
小雪の言葉に、蒼真は力強く頷いた。
蒼真と小雪は、連日侵略者の調査に当たっていた。
二人は、次第に息の合ったコンビネーションを見せるようになる。
「小雪の動きは、本当に俊敏だ。おかげで、随分と戦いやすくなった」
「そ、そんな...蒼真さんこそ、頼もしいです」
ほめられた小雪は、思わず顔を赤らめる。
実は、蒼真への想いを密かに募らせていたのだ。
ある日、二人は侵略者の襲撃現場に遭遇した。
「小雪、気をつけろ!」
蒼真が身を呈して、小雪を守る。
「蒼真さん!」
小雪は、蒼真の勇気に心を打たれていた。
必死の戦いの末、二人は侵略者を撃退することに成功する。
「ありがとうございます、蒼真さん。私、まだまだ未熟で...」
「いや、君の働きがあってこその勝利だ。本当に感謝している」
蒼真に認められた小雪は、喜びに包まれる。
同時に、蒼真への想いがさらに強まっていくのを感じていた。
一方、調査を進める中で、蒼真たちは衝撃の事実を知る。
侵略者の背後には、羅刹院が関与していたのだ。
「まさか、羅刹院が異界と手を結んでいたとは...!」
蒼真は、羅刹院の企みに戦慄した。
さらに調査を進めていくと、とある情報が入ってくる。
「羅刹院のリーダーの名は、神楽木修羅...かつて我が組織を裏切り、消息を絶った男だ」
龍一の口から、衝撃の事実が明かされる。
「師匠、それは本当ですか?」
「ああ、間違いない。あの男は、かつて煌朧の櫂の有望な人材だったが...」
龍一の話によると、修羅は非常に優れた能力を持ちながら、その力に溺れ、組織の教えに背いたのだという。
「そして、修羅は羅刹院を設立し、我々に敵対するようになった...」
龍一の悔しそうな表情が、物語る。
蒼真は、羅刹院のリーダー・神楽木修羅との決戦を覚悟した。
そして同時に、弟・蒼空との再会も予感していた。
「師匠、必ず修羅を止めてみせます。そして、蒼空も...必ず取り戻します!」
蒼真の心に、新たな決意が芽生える。
侵略者の脅威は、日に日に増大していった。
人間界の危機に、煌朧の櫂は総力を挙げて立ち向かうことになる。
そんな中、小雪は蒼真への想いを伝えるチャンスを伺っていた。
「戦いが終わったら...蒼真さんに、私の気持ちを伝えよう...!」
小雪の決意は、静かに、しかし熱く燃え上がっていた。
大きな戦いの幕が、今、上がろうとしていた。
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