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龍一の言葉を聞き終えた蒼真は、改めてその使命の重さに息を呑んだ。
「つまり、私たちは異世界から現れる脅威から人々を守る役目を担っている。そしてそのための特殊な力が、異能なのですね」
「その通りじゃ」
龍一は簡潔に頷いた。周りの面々もまた、真剣な面持ちでその言葉に同意していた。
「昔から異世界、もしくは異界との接点は存在していた。だが、近年になりそこから飛び出してくる脅威が増えたのでな」
「近年になって?どういうことですか?」
「むしろ自身に聞くがいい。おまえはどのような経緯で異能に目覚めたか」
蒼真は自身の体験を振り返った。
中学2年生の今年に入ってから、幽霊が見えるようになり、やがてその怨霊たちから暴れられるように。
そしてついには、あの路地裡での出来事に遭遇した。
「そうか、おまえもついに目覚めたのだね」
龍一は頷きながら、続けた。
「世間でよく聞く、空前の霊的現象の増加。それは、すでに異界との限界がこの世界に食い込んでいる証なのだ」
蒼真の目が見開かれた。自分の異能が目覚めた理由が、そこにあったとは。
「つまり、私の能力は、この世界と異界の狭間にある力だということですね」
「そういうことになろう」
龍一はうなずき、更に言葉を続ける。
「だがな、お前さんの場合はかなりの霊力を持っておるようじゃ。扱えば強力な異能になり得るはずじゃ」
その言葉に、蒼真の中に希望の光が灯った。今までの力に自身がなかっただけに、龍一の評価は自信につながった。
「では、私に何をすべきか教えてください。この力を、きちんと扱えるように」
「しっかり聞け。これからおまえに課せられる試練は容易ならざるものじゃろう」
龍一の言葉は重く、蒼真の心に宿った。まさに運命の歯車が、動き出したのである。
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