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プロローグ2

蒼真は目の前の怨霊たちに手を焼かれながらも、逃げ道を探した。

しかし、この路地は袋小路で、行き止まりだ。怨霊たちに追い詰められるままだった。


「うわあああっ!」

さらなる絶叫と共に、蒼真は自身の手から放った念力で怨霊を幾つか吹き飛ばした。

しかし、それで怨霊はほんの僅かしか減っていない。


「ち、ちくしょう…なんでこんなことに…」

蒼真の人生は中学2年生の今年から、思わぬ方向に傾いていった。

幽霊が見えるようになり、呪いの類を受けるようになってからだ。


幼い頃から、一部の他者には見えない何かを目にするたびに戸惑っていた。

それが最近では怨霊の大群すら視界に入るように。自らの念力すら制御できぬまま、今に至っている。

両親には打ち明けられず、弟の蒼空にも先手を打たれてしまった。


この異能を制するための手段が見つからない限り、蒼真の日常生活は無残にも次々と奪われていく。

そう悟った時、蒼真の心は到底打ちひしがれてしまったのだ。


「うぅ…ああっ!誰か、助けてええぇぇ!」


涙ながらに叫ぶ蒼真の最期の叫びに、人か何かが反応した。


「おい、しっかりしろ!」


響き渡る低い男声に、蒼真は我に返った。そして視界の先、怨霊の群れの中に1人の独特な風体の男がいるのに気づいた。


黒頭巾に身を包み、ひとたび目を見開くと彼の目は怨霊たちを押し留めるかのような威圧感を放っていた。いったいこの男は何者なのだろうか。


「今こそ、己の内なる力を解き放て」

男は念じるように言った。その言葉に導かれるように、蒼真の指先から青白い光が溢れ始める。


「これが、私の......力ですか?」

今までにも増して明滅する念力に、蒼真は目を疑った。するとその光は次第に手のひら全体を染め上げ、やがて渦を巻くように膨れ上がっていった。


「ふん、まだまだだな。だが十分な手ごたえはある」

男はしばし蒼真の念力を見ていたが、やがて頷いた。そして男自身の掌から、今度は灼熱の赤い閃光を放った。


「見守れい、これぞ我が力の一端」


赤い光の拡がるのを見ながら、蒼真は自らの念力の可能性を改めて感じ取った。見知らぬこの男との出会いによって、自身の異能に一縷の望みを見出したのだ。

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