バーディの家出事件
これは、我が家の18歳と6か月の柴犬(バーディ、ここではあえてヤツ)のお話です。
ある冬の夜、夕食のかたずけも終わり、やれやれと流し台から振り返った時のことでした。怪しげな床のぬれ方、視界から姿を消しているヤツ、さては、やっぱり、疲れがどっと出ると同時に怒りがこみ上げる。隠れているヤツを引っ張り出して、駐車場のフェンスにつなぐ。しばらくここで反省するのが我が家の掟。
10分?いや5分ほどして、インターホンのカメラをチェック、画面にいない、あれ?急いで外にでてみる。
いない。庭にも車の陰にも、どこにもいない。心配と後悔が押し寄せる。この寒空の中、どこへ行ってしまったのか?家の者に知らせて一緒に探そうか?でも、明日の仕事に差し支えてはと考え、一人で懐中電灯の明かりを頼りに探すがいない。一旦家に戻って今度は、自転車で少し範囲を広げて探すが自転車のライトの狭い範囲には、それらしき姿はみえない。夜も更けてくるし、明日明るくなってから探すしかないと思って家に戻る。布団に入っても、トボトボと暗い夜道をさまようヤツの姿が目に浮かんで一睡のできないまま、東の空が白んでくる。早朝から自転車で、河川敷にかかった長い橋を渡った先の隣町まで探しに行く。それらしき姿はない。ふと橋の下をみる。広大な河川敷広がっている。この茂みの中に迷い込んでしまったら、とても見つけることはできないと思う。野良になって子供たちにいじめられてやせ細ったヤツの姿が想像されて、景色が、にじむ。
でも、2~3日で帰ってきた犬もいるという話を聞いたこともあるのを思いまして、いったん家に帰る。
その間いろいろ考えた結果、とりあえず保健所に連絡しておくことにして、9時の受付時間を待って電話した。
一通りの事務的な受付を終えると、「念のため、最寄りの警察署にも連絡しておいたほうがいいですよ」とのこと、
迷い犬はよく近くの警察に保護されることがあるとのこと。すぐに最寄りの警察に電話する。
担当の方が「確認して連絡します」とのことで、電話を切って連絡を待つ。
まもなくして、電話があり、特徴に該当する犬が保護されているので、写真を持ってきてくださいとのこと。
急いで写真を探すが、最近の写真が見つからないので、若いころの写真をもっていく。
ちょっと写真と感じが違う様子だったが首輪やりードの特徴を確認して、つれてきてくれた。
ヤツはこちらをみると、しっぽを振った。それを見て間違いないと認めてくれて渡してくれた。
帰りの車に乗ってしばらくすると、犬語?で、ウーとか、ワーとか言い出した。きっと寒くて怖い思いをしたことを訴えているのだろうと思った。
しかってごめんネという思いを込めて、抱きしめて、頭をなでて、わかった、わかったと繰り返した。
奴は今どうしているか?
おむつをして、エアコンの下で、一日中眠っている。