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いまさら魔王の週末異世界  作者: 放睨風我
第三部: 終焉
43/56

第43話 強制召喚 #1

身体を包む光が閉じてゆく。


ルナと桜花(おうか)は、薄闇の中にいた。足元には魔法陣が鈍く光っている。

ルナにとって見慣れた光景。

毎週末のように訪れた、もう一つの世界。


――魔王城。


目の前には男の背中があった。

神父のように見える彼が神に仕える聖職者ではないことを、ルナは既に知っている。

深淵を知り悠遠を望む、魔なるもの――【知恵の魔族】。

その名を――


(ハデス……!)


ルナは桜花を背中に庇うようにして、ハデスを警戒した。

だがハデスは二人に視線を向けることすらなく、静かに魔王城の大広間の扉を見つめていた。

背中越しに、低い声が響く。


「――二年と、半年ぶりでしょうか。魔王様」

「ハデス……桜花ちゃんは関係ない。元の世界に戻して」

「……」


ハデスは答えない。

代わりに片手を挙げ、すっ、と空間を横一文字に撫でるように動かした。

その合図で大広間に明かりが灯る。


「――敵襲です。オシリスが相手をしていますが、まもなくここまで辿り着くでしょう。【魔大樹】を破壊されるわけにはいきません」


二人の後ろには、ルナがこれまで魔力を注ぎ込んできた大樹が高くそびえ立っている。


「……ハデス、あたしは、もう……」

「い……岩崎さん、この神父様は、いったい……何をおっしゃっていますの?」


震える声の桜花が、困惑混じりに問う。

ルナに張り詰める緊張を感じ取っているのだろう。その手で、ぎゅっとルナの服の裾を握りしめた。


ハデスはわずかに振り返り、その光のない瞳でルナを射抜いた。


「――魔王様。()()()()()()()()()()()()。あの――【()()】と」


――破壊音。


扉は、砂糖菓子のようにもろく砕け散った。

扉を突き破った勢いのまま床に転がったのは、巨大で醜悪な肉塊であった。

オシリスの【真の姿】である。

肉塊はあちこち傷付き、体液を流していた。


【敵】はこの巨大な肉塊を吹き飛ばし、その威力で扉を破壊したのだ。


じゃり、と、扉の破片を踏む音。


粉塵の向こうから現れたのは、漆黒の大剣を手にした【敵】――勇者アイの姿だった。

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