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シニコク~4259  作者: 桜盛 鉄理
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二十七告目  波紋 1

 後藤柚姫は昼休み、空き教室に2人を呼んでシニコクの呪いについて話した。その内容に西木千輝と佐島鷹翔もショックを受ける。

「その動画の中で死んだ子が実際に千輝と鷹翔君を呪った相手なのかどうかは分からないけれど、嘘告に心当たりがあるならここで話してくれる?」

 そして2人は佐島鷹翔が鎌田久留美に嘘告をしたこと、彼をそそのかしたのが滝村涼香と西木千輝だったことを白状した。


「呆れてものがいえないわ。涼香も一緒だったなんて。じゃあきっと涼香にも影が出てるのね? 外国へ行ったのもそのせいなのかしら」

「えっ、じゃあ遠くへ行けば呪いは消えるってこと?」

「消えはしないけど物理的に距離をとることはそれなりに効果があるはずよ。厳密には時間や方角とかも関係してくるけどね」

「じゃあ俺も山にでもこもって寺で修行させてもらうか」

 おどけてみせる佐島鷹翔だったが、後藤柚姫が真顔で釘を刺す。

「中途半端ならかえってやらないほうがいいわ。夏休みも浮かれたりしちゃ駄目よ」

「分かったよ。けどよ、久留美と距離を置きたかったのはその通りだけど、そんなに人に恨まれるほどのことか?」


 佐島鷹翔はプロを目指す野球バカだ。他に目もくれず野球に打ち込んできたせいで感情の機微にうといところがある。恋愛にも興味がなかった。何かにつけ世話を焼く鎌田久留美のこともただの幼なじみとしか認識していなかった。

 一方で西木千輝が彼を好きなことは傍目にも明らかだった。嘘告は彼女が佐島鷹翔ともっと親密になるため、滝村涼香と一緒に邪魔な鎌田久留美を排除しようと計画したものだった。


「あーあ、最後の夏休みだからパーッと海にでも行ってさ、涼香の別荘でバーベキューとか、あっ……ご、ごめん」

 謝る西木千輝に後藤柚姫がため息をつく。

「涼香のことは言ってもしょうがないわ。とにかくいつもどおりの生活を心がけて、思いつきで行動しないようにしてね。シニコクのことはもう少し私が調べてみるから」


 後藤柚姫には全てを放り出して外国に逃げた滝村涼香を到底許す気にはなれない。後藤柚姫の説明した起こりうる悲惨な未来を2人は深刻に受け止めていないようだ。しかし滝村涼香という存在がなくなって自分たちが今後クラスでどんな扱いをされるかを思うと気が滅入ってくる。クラスにはこれまで滝村涼香と張り合ってきた暮林夏凛くればやしかりんがいるからだ。


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