二百四十四告目 刑部秀穂 7
「それに信岡さん、あなたも僕ら『黎明の灯火』に協力してもらえませんか? 報酬もお支払いしますよ」
「一気にうさんくさい話になってきたな。何の新興宗教だ。ショッカーか?」
「いやいやそういうのとは違いますよ。表立っては言えませんが裏にはかなりの人物も動いています」
「政治家がらみか。使えるものは何でも使うってことか」
「お金だけじゃないですよ。うまくいけばあなたや聖さんや他の人の赤い影も消せるようになるかもしれない」
刑部秀穂の言葉に阿川飛名子と奥村稜、城戸琉侍、琉星狼のメンバーも色めき立つ。
「本当にできるのか? ぬか喜びじゃ困るぜ」
「やる以上はそのつもりです」
「そうか……いいだろう。協力してやるよ。ただし聖をモルモットにするのは許さねえ」
「はい、そこはお約束します」
刑部秀穂と話がついたことで信岡玄は阿川飛名子、奥村稜以外のテニスサークルのメンバー5人の解放を決めた。葉見契一の取り巻き3人は『黎明の灯火』で働くことになった。看護師の卵もいた。
そして葉見契一と琉星狼のメンバーは過酷な工事現場に放り込まれる。「飯は出るし尻が壊れなければ少しは長く持つかもな」と信岡玄が言うと全員が顔色を変えた。
「ところで俺にはもうひとり、いや2人か。落とし前をつけさせたい奴らがいるんだが、今更やめろとか言わないだろうな?」
「ええ、それには口を出す気はありません。ご自由に」
別れ際に刑部秀穂はそう言った。
そうして信岡玄は次に新当桂馬と新当絵馬を攫った。