二百四十一告目 刑部秀穂 4
「何でお前が聖のことを? そんなことよりあいつは無事なのか?」
「はい、今は安全な場所で暮らしてもらっていますよ」
「それは本当なの? 稜くん! セイが……」
「うん。先輩が……よかった」
刑部秀穂の言葉を聞いて阿川飛名子と奥村稜も手を取り合う。
「そうか……それならこっちに異存はねえ。人質みたいな扱いは気に食わないがな」
「そういうつもりじゃなかったんですが彼女も傷ついてますからね。会わせるのは少し時間を置いたほうがいいと思ったんですよ。それで……」
「ちょっと! 勝手に話を進めないでくれる? そんなことしたら大損じゃないの!」
二人の会話に三条虹弓が口を挟んでくる。
「黎明も慈善事業じゃないのよ。今は一人でも多く所持者が必要なのに何言ってんのよ」
「その話は今はいいでしょう。ちょっと黙っててくれませんか」
三条虹弓の剣幕を刑部秀穂がたしなめようとするがすでに遅く、その言葉に信岡玄が顔色を変える。
「所持者? 何の話だ。三条、刑部、お前らはグルなのか? ここで俺と会わなかったらお前ら聖に何をするつもりだったんだ? くそったれが!」
信岡玄のすっかり冷えた目に刑部秀穂がため息をつく。
「はあ……だからあなたと組むのは嫌だったんですよ。根っからのトラブルメーカーですからね、木田村さんは」
「その名前で呼ぶなって言ってるでしょ、バカ!」
「痴話ゲンカなら後にして俺の質問に答えろや!」