二百三十三告目 多門真夕貴 14
多門真夕貴はネットの掲示板を使ってシニコクの代行屋を始めた。その時点で報酬は受け取らなかったため気安く住所や名前の書き込みがあった。相手を呪うといってもそれが本気なのかからかい半分だったのかは分からないが、多門真夕貴にはそこから得られる個人情報のほうが重要だった。
多門真夕貴は城戸琉侍を使って呪いのターゲットにされた本人や周りの人間関係を調べた。そうしておいてターゲットに「アナタにシニコクの呪いをかけた人がいる」と祓い屋のふりをして秘密裏に接触し、身に覚えのある嘘告を白状させた。そしてそれをもとにシニコクの呪いをかけた。
呪いにかかったターゲットには人柱の呪法を応用したペットを身代わりにする方法を教えた。「呪いが解けたら成功報酬をもらう」と言ったがそれはどうでもよかった。実際にペットが死ぬまで面倒を見れる人間がいるとは多門真夕貴自身思っていなかった。
その後に多門真夕貴は掲示板に「ターゲットはシニコクの呪いにかかった。報酬をもらいにいく」と書き込んだ。そうしておいて依頼の書き込みをしたと思われる人物に手紙を出し10万円を請求した。支払いに応じる依頼者もまれにいたが大抵は無視された。しかし多門真夕貴の目的はその先にあった。