表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シニコク~4259  作者: 桜盛 鉄理
227/260

二百二十七告目  多門真夕貴 8

『……突然弁護士だという人がやってきて真夕貴さまと手を切るよう言われました。そして彼が私の代わりに交渉を仕切った。守られているたは名ばかりで蚊帳の外に追いやられ私は最後にその結果を書いた書面を弁護士から受け取っただけでした……こう書きながら自己弁護ばかりで言い訳にもなっていない。彼に騙されていたとはいえ自分のしたことを今は恥じるばかりです。

 でも騙されたと言えば彼はそれは誤解だと否定するかもしれません。何故なら彼の行動には何の悪意もなく、彼の姿は信奉者にとっては彼らが思い描く正義の象徴なのでしょうから。


 あのあと彼は私に「今日から君は自由の身だ。誰に気兼ねもなく胸を張って堂々と生きていけばいい」とそう言ったのです。事件を解決して去って行くヒーローのように手を振って別れを告げられた。背中を押してくれたと言えばそうなのでしょう。でも私からすればそれは優しさでもなんでもない。知らない世界で一人で生きろと言われたのと同じです。


 そのときにやっと私も気づきました。彼は私を好きだから寄り添ってくれたわけじゃない。私だから不幸な境遇から救いたかったわけじゃない。そういう「正しい生き方」をしている自分に酔いしれているだけなのだと。そして不幸じゃなくなった私の隣に彼がいる理由はもうなくなったのだと……』


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ