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シニコク~4259  作者: 桜盛 鉄理
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二百三告目  悪は裁かず 10

 信岡聖に葉見契一と会うのについて来てほしいと頼まれた日、しかし約束の場所に彼女は来なかった。電話しても出ないため阿川飛名子はとりあえず一人で葉見契一のマンションに行った。しかし葉見契一から受け取るはずのペットは死んでいた。

「どういうことなの! セイがなんのためにあんなことをしたと思ってるの!」

「ごちゃごちゃうるさいな。とっととボクのものにならないのが悪いんだよ。居場所? あ~ビッチはビッチらしくどっかでみんなと楽しんでるんじゃないの?」

 ゲスな笑いを浮かべる葉見契一の言葉に阿川飛名子は信岡聖が琉星狼に攫われたのだと察した。


 マンションを出て阿川飛名子は【あの女】に電話する。探すにも他に何のあてもない。

「これもあなたが指示したことなの? もう気が済んだでしょう? セイを返して!」

「まだダメよ。ここからが本番なんだから。きっと面白いコトになるわよ。あはははははっ。あははははははっ。」

 阿川飛名子は狂ったように笑い続ける【あの女】に恐怖する。そして今更ながら自分のしたことを悔やんだ。

(こんなことになるなら復讐なんかするんじゃなかった。見栄や恥なんてどうでもいいからセイに全部打ち明けていればよかった。周りなんて気にしないでかばって前に立ってあげればよかった……)


「もう付き合いきれない。私は降ろさせてもらうわ」

「ワタシを裏切るってコト? どうなっても知らないわよ?」

「ええ……それも覚悟のうえよ」

 そう言って阿川飛名子は電話を切った。歩きながらこれからのことを考えようとしたがうまくいかなかった。

(もう何もかも遅いのかもしれない。でももう後悔したくない。たとえ自分が同じ目にあったとしても……)


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