十八告目 滝村涼香 6
関口が引き取って質問を変える。
「では鎌田久留美さんはどうですか?」
「久留美……さんは転校する前は同じグループでしたから」
「その後連絡とかはされてない?」
「はい、全然……」
「そうですか。彼女もね、亡くなってます。こちらも自殺です。心当たりは?」
「いえ……ありません」
刑事たちがじっと見てくるが滝村涼香から何か話すつもりはない。浅里誠一も無言のまま彼女を見ている。
「こちらの高校にいたとき、柊修二くんと鎌田久留美さんに接点はありましたか?」
「……分かりません。それが私と何か関係が?」
それには答えず関口は内ポケットからポリ袋を取り出す。中にはハンカチが入っている。
「これに見覚えは? ちょっと出して確認してもらっていいですか?」
関口の言葉に従って滝村涼香はハンカチを出して確認する。ブランド物のハンカチで彼女が愛用しているものと同じだった。
「たぶん……私が持っているものと同じだと思います」
「あなたのものではない? 他に同じものを持っている人は」
「友達にあげたりしたのでその人は持ってると思います」
「盗まれたとかはなかったですか?」
「いえ……はっきりとは覚えてないです。これも何か関係があるんですか?」
「今はお答えできません。ご協力ありがとうございます」
関口はやはり質問に答えない。
「ああ、それはこちらに貰います。ありがとうございました」
石谷がハンカチを回収する。滝村涼香は彼に何か違和感を感じたが、関口が質問を再開したのでそちらに意識が向いてしまう。