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「お、お兄様!ノブナガ様に反旗を翻そうなどと、お気が振れたのですか?そのような愚かなお兄様ではなかったはず、どうしたのですか?!」
「なにを言う、お前こそ、ノブナガ様の恩義を忘れて、かの方の恐ろしさ、善政が分からず寝返ようとはどういうことだ!そんな愚か者とは思わなかったぞ!」
二人は、顔を見るなり、思いを吐き出すように言ってから、
「は?」
と同時にキョトンとした。
「お前が、ノブナガ様に反旗の軍を決起したと聴いていたが?それで慌てて…。」
「お兄様が、ノブナガ様打倒の王命をだしたと聞いて、私も慌てて…。」
二人は、互いの顔を見つめた。港湾都市を持つ人間の一王国の王と妹王女、既に結婚して大公夫人であるが、は、互いに相手が反ノブナガ陣営に、という知らせを聞いて、半信半疑ながらも驚き、姉が治める半独立適切な公女領にやって来たのである。既に彼女も結婚していた=婿を取っていた。その彼女が仲介して、会見を呼びかけたのだ。
「お前が、そんなに愚か者ではないと、考えれば、直ぐ分かることだった。」
「私こそ、兄上賀あのような愚か者ではないこときらい分かっていたはずなのに…。」
「お姉様。全てを知っていた?」
「それで、誤解を解かせようと…。本当に、すまん、すっかり慌ててしまっていた。」
「私こそ…。おにい…コホン…兄上が、…本当に申し訳ありません。すっかり動転してしまっていましたわ。」
頭を下げあった二人だったが、ふと疑問を感じた。
「姉上は?」
彼女の夫が進み出て、
「今参ります。」
彼の微笑みが、妻=王妃、夫=大公達の微笑みと似ていたことに二人は、全く気がつかなかった。しばらくして、何故か、大きな布に覆われたものが運ばれてきた。
「?」
2人は、人を驚かすことが好きな姉の何かと思った、思おうとした。
「公国公女様です。」
布が一気に剥ぎ取られた。
そこには、確かに驚かせるものだった。椅子に縛りつけられて、猿轡をはめられた全裸の姉が、しかもM脚状態にさせられていた。
「は?」
唖然として、金縛りにあい、思考停止になった二人に、必死にあがいて猿轡をずらした姉が、
「2人とも逃げて!これは罠よ!」
その声に、はっとして動きかけた時、
「姉上様が死にますよ。私も妻を殺したくはないのですが、国のためには。」
彼女の夫が、姉に短剣を突きつけた。
「ぐ!」
「く…。」
「私に構わず逃げなさい!」
「え?」
戦えではなく、逃げろという言葉で、最悪の事態が頭に浮かんだ。
「あなた。お義姉の命が大切ですわよ。」
王妃=妻が、短剣を王=夫に、後ろから突きつけていた。
「私も妻を殺したくないんだよ。」
大公=夫が、やはり短剣を、妻=王の妹に突きつけた。二人は、後方の自分の護衛を振りかえった。王の近衛兵の半ばしか、自分のために動こうとしなかったのが目に入った。その彼らも、王の状態を見て動けず、動こうとしなかった同僚達に武装解除され始めた。
大公妃の、少数の自分直属の護衛は多勢に無勢の中、武装解除されていた。
「お前は!」
「あなたという人は…。」
二人は、互いの妻、夫を睨みつけた。しかし、彼らは勝ち誇った表情で、
「臆病者の指導者はいらないのよ。」
「あなたのような傀儡の王など、誰も認めない。」
その時、
「うわー!」
と縛り付けられていた姉が暴れ出し、彼女ごと椅子が倒れた。流石に、周囲が慌てる間隙を縫って、後方から、年配の侍女が飛び出してきた。3人が子供の頃から知っている侍女で、姉の嫁入りについていった侍女だった。
「お嬢様!若君!」
持っていた袋を投げた。粉が袋の中から広がり、視界をしばし失った、誰もが。そして、彼女が辺り構わず、体当たりし、短刀を振るったので、広間全体が混乱した。
「今だ!」
「お兄ちゃん!やろう!」
二人は、武器を取り戻して、姉のところに飛んだ。暴れ回っていた姉は自力で縄を外していた。
広間は、剣劇の場となった。
「この裏切り者!」
裸の姉公女が、椅子を振り上げて、夫の頭に叩きつけた。まともに当たって、夫はその場に倒れてしまった。
「この淫乱女!お兄様を裏切って!」
妹大公妃は、王妃に斬りつけた。
「キャアー!」
避けきれず、腕を深く切られ、血が噴き出した。
「お腹の子供を殺す気?女の情がないの?」
腹に手をおき、必死の形相で睨みつけた。
「煩い。どうせ、お兄ちゃんの子供じゃないんでしょう?どこかの馬の骨の子供が、汚れた女の中にいたって知るもんですか!」
自分の言葉が終わる前に、逃げようとする彼女の背中から剣を突き刺した。
「今、剣を置けば、首謀者以外罪は問わん!」
大量の血を流してうずくまる妹の夫の大公に剣を突きつけて、王が叫んだ。王の権威と主が倒れたことで、広間では次々に剣を捨て、両手を上に上げる者が相次いだ。二~三人が、なおも戦い続けたが、長くは続かなかった。
「何とか終わったな。」
「良かった。」
互いに見つめ合う王と妹王女だったが、大事なことに気が付いた。姉大公が丸裸だった。
「誰か、姉上の服を!」
と叫んだが、この館の中に反乱者の残党がいるかもしれない。完全に制圧してからでないと安心できない。
「お兄ちゃん。これ?」
と妹が元は王妃だった女の死体だった。さすがに、妻だった女の死体である。躊躇したが、体の大きさは、姉と同じくらいだった。他に女の死体はなかった…いやあったが、やたらにデカい体だった。小さく頷いた。それを確認すると妹は直ぐに死体の側に行って、服を剝ぎ取り始めた。
「あなたねえ…。」
呆れたという顔を、姉はした。
「一応、上質なものだから…。」
妹を手伝いながら、弁解するように言った。
「だからと言ってね…。」
さすがに嫌な顔をした。
「死体から剝ぎ取ったものだし、血はついているし、汚れているから嫌だろうけど、今はとりあえず…。」
弟の困ったような、救いを求めるような目を向けられ、全裸であることが急に恥ずかしくなり、普通のやり方では直ぐにこの問題を解決出来ないことは分かったため、
「分かったわよ。」
得意顔で差し出す妹から、ひったくるように、それを取ると、急いで身に着けた。
「さあ、まずは私の館を取り戻すわよ!あ、その元夫と称する男は縛り上げておきなさい。仲間を白状させるから。」
彼は、彼女に椅子を叩きつけられたため、まだ気絶したままだった。直ぐに、何人かが、彼女が縛られていた縄などを使って縛り始めた。
「さあ、行きましょう!」
と弟とすかさず腕を組んだ。
「行きましょう!お兄様!」
慌てて駆けよった妹は反対側の腕を組んだ。
“2人とも壊れた…。私も壊れそうだ…。”顔には出さず、
「我に続け。この館を制圧する。我に忠誠を示さない者は即、殺せ。それ以外の者は全て許す!その男も抱えてでも連れてゆけ。」
一団となって、彼らは広間から出た。
そして、館を短時間で制圧すると、王は、
「早く死体を片づけろ。もちろん後で埋葬してやるためだ。その女、…俺の元詰まっだ、その首を持って王都へいけ。その男の首を持っていく妹の館に行け!」




