あ~戦争は、嫌だ
とにかく、周辺地域には人間・亜人の軍が次々に集結している。何故か、反対側、つまり北西には魔王軍が大軍になるのを待っているかのように、布陣し、次々にその陣に馳せ駆けつけてきているといった状態にある。また、海賊の船団が脅かすように、沖合に姿を現している。
「全く、これだけの国に、ご大層なことだ。」
信長の目は笑っていなかった。
「まあ、それだけ我々を恐れているというわけだろう。」
ヘルの考えは、いつもポジティブであった。
「いや、魔軍も呼応させる敵とはどういう奴かと思えてならない。かなりの智恵者だろうしな。」
「それも、そのうち、姿が見えてこよう。」
相変わらずポジティブなヘルは、急にもじもじとして、
「なあ、今日は、もうそろそろな、明日はフレイアも来るしな。お前だって、その気になっておるようだしな。」
体を擦り付けて離そうとしなかった。確かに、こういう状況になって、不安が膨れ上がり、それに比例して闘志が大きくなっていって、何故か性欲を目一杯限度を超えてしまっているのをノブナガも感じていた。ヘルも同じだろうということは長年の付き合いでよく分かっていた。
「別に今日、焦ることではないだろう。していなかった、ご無沙汰でもないだろう。フレイアと一緒に明日でも。」
気持ちは分かっていたが、わざと焦らすように言った。
「もう、お前様~。お前様も我慢できないのは分かっておるのだぞ~。」
さらに、体を擦り付ける。
さっと、ノブナガはヘルを抱き上げ、そのまま寝室に運んだ。喘ぎ声が外に洩れ出すには、それ程の時間はかからなかった。
翌日には、フレイアがやって来た。彼女がやったことは、まずは、ノブナガを寝室に引っ張りこんでからだった。ヘルは、二人だけにはしてくれなかったので、二人でノブナガをベッドに押し倒した。
3人が寝室をでてから、止まってはいた針が動き出した。
まずは、息子と娘を交えて話しをすることにした。フレイアとの間にも子供達がいたが、フレイアの領地を守っていた。
魔王軍、何人魔王がいることか、どこぞの女王蟻が何匹もいる蟻のような連中である。まあ、当面の人間達の軍も同様だが。両方まとめて壊滅するのなら簡単だが、二方面に分かれている。どちらかを壊滅させて、あるいは打撃を与えておいて、返す刀でということになるのだが、実際はなかなか上手くいくものではない。
「魔族は、お前達にまかす。ただし、防御に専念しろ。人間の軍は、わしが精鋭を率いて、本陣を叩いてまわる。」
「精鋭を率いるのは私とノブナガよ。」
ヘルが訂正した。仕方がない、とノブナガは苦笑した。
「もうしばらく、時間はあるから、最新兵器の配備を進めておけ。それから、軍艦の方はどうだ?」
コルベットの建造を進めているが、2隻が既に就役間近である。ヤマト、ムサシと名付けている。あの大和、武蔵ではなく、同名初代に近い艦である。
鉄骨木造の船体に鉄の装甲を張っている、砲塔をまだ持たない段階の水準で、17㎝後装砲などを装備している。この世界の水準なら、かなりの戦力となるはずだ。ただ、魔法や魔獣もあり、絶対とは言えない。
「ヤマト、ムサシは順調に進んでいます、数日中には。他の軍艦の整備め完了しています。」
息子が報告した。