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第6話 本当のアイドルみたいに

褒められた。

何をかって言ったら、愛里が書いた歌詞を。


ついさっき完成した「Beginner’s Melody」というタイトルの歌詞をまな姉とえま姉に渡すと、二人はめちゃくちゃ喜んで、愛里の頭を撫でまくりました。


髪がぐっちゃぐちゃになるよ……まあそれはともかく。


「そろそろやめて貰えるかな、まな姉、えま姉……」


愛里がそう言うと、二人は渋々といった様子で離れていきました。


というか、愛里を撫でる暇があるなら仕事をしてよ……


まあ文句は言わないでおこう。次に愛里がやることは決まってるんだから、そっちに力を注ごっと。


次に愛里がやるのは、メロディ作り。作曲アプリで曲を作るのはめちゃくちゃ面倒臭いから、ピアノでメロディを作ってあとはえま姉に丸投げする。それが愛里のやること。


ていう訳で。


「ピアノの部屋行ってくるねー」


と愛里は告げ、歌詞を書いた紙と共に子ども部屋を飛び出したのでした。


ピアノの蓋を開き、ピアノの前に座る。それだけで、なんか気分がすっとするんだよね。


メロディを作る…うーん、どういう感じで作ればいいのかな……


愛里はとりあえず、思いつくままに鍵盤に指を走らせた。

けど、なんか違う…なんか気に食わない。


まず、短調か長調かを決めた方がいいかもね。この曲はまあ応援ソングだし、歌詞的にも長調の方が合ってるでしょ。


だったら次は何調にするか。

多分作りやすいのはハ長調だけど、音域的にはどうなのかな…ヘ長調とかの方が歌いやすい?なんなら変ロ長調とか?


うーん、そこの辺は考えてもわかんないなぁ。だったらまずハ長調で作って、その後歌ってみてから細かい調は決めよっと。その方が効率がいいよね。まあ最悪、決まらなかったらその辺もえま姉に任せよ。


そう思ったらなんか途端に気楽になってきたから、愛里は適当に音をつけて歌ってみることにした。


うーん、ここは下げるより上げた方がいいかな。ここのリズムは変えた方が良さそう。ここはもっと伸ばした方がかっこいいかなぁ。


そんなことを考えていると、どんどん形になってきた気がして、凄くテンションが上がってきた。


今、愛里は本当にアイドルになった気分。もちろん本当のアイドルみたいに歌は上手くないし、曲とかもちゃんとしてないし、ダンスもそんなに踊れないけど。


なんだか本物のアイドルみたいで、楽しい!HIghschoolDreamLiveに出るって……高校生アイドルになるって、こんなにも楽しいんだ!


まな姉に流されて始めることになったアイドル活動。だけど今、愛里はその楽しさにやっと気づけました。


自分たちで何もかも一から作るからこそ、作り上げたものはとてつもなく大きく感じる。愛が湧く。


伝えたいって思える!


よし、これを録音してから、えま姉に渡そう。ピアノで弾いてないけど、ちょっとくらい許してくれるよね?だいたい、ピアノで弾くよりも調を決めやすいだろうから、歌…ていうかアカペラの方がいいかもね。


よし、もう一回、通して歌ってみよう。それで気に入ったら、録音しよう。気に入らなかったら気になった部分を修正して、さらに歌おう。


前から歌うことは好きだったけど、自分で作った歌となれば格段に楽しい!もちろん、我に返って見ると少しはずかしいけど……そんなこと構ってられない!そんなこと言ってたらアイドル活動なんてできない!


そんなことを考えながら、愛里は自分の作った歌…Beginner’s Melodyを歌うのでした。


この曲を、まな姉の作った衣装を着て、えま姉が作った振り付けで踊る日を夢見ながら。

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