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王様に喧嘩売っちゃいましたけど、不味いですよね?


 場所は戻り、再びストロング王国。

視線の先には、夢の国とかロンドンとかにありそうな立派なお城。

 そんな場所に両手を拘束された状態で連れてこられてしまった。

 どうしましょう、逃げた方が良かったかな。

 なんて今更な後悔を抱いている内にドデカイ門を潜り、しばらく兵士に連れられて歩いていく。

 城内にはお金が掛かっていそうな品物やら絵やら、ドアノブ一つでも金ぴかだったり。

 そして忙しそうに動き回る兵士やメイドさん達。

 いつもならリアル兵士とリアルメイドに感動していたかもしれないが、今は如何せん状況が良くない。

 本当にどうしたものか……なんて思っていると、これまた豪華な扉の前で止まらされた。


 「例の二名を連れて参りました!」


 やけにデカい声を張り上げる兵士に驚きつつも、どデカい扉をポカンと眺めていた。

 この人今二名って言ったよね?

 チラッと背後を振り返ればどうにか鎧を脱いだ筋肉が一人と、僕達を囲む兵士が数名。

 以上。

 以上、なのだ。

 周りをいくら見回しても、我らがナビゲーターの姿がない。

 あの秋の虫、一人だけとんずらかましやがった。

 やはり瓶詰にしておくべきだったか……なんて一人項垂れていると、扉が勝手に開き始めた。

 まさかの自動ドア!? なんて思ったりもしたが、向こう側で重そうな扉を引っ張っている兵士が二名。

 この世界、自動車まであるのにこういう所は原始的なのな。

呆れた視線を室内に送れば、向かう先には偉そうに踏ん反り返って座っている髭のお爺ちゃんとご対面。

背中を小突かれながら近くまで歩くと、無理やり肩を抑えられて座らされた。


 「身分証を確認せよ」


 その隣に立っていたこれまた偉そうな男が、顎で周りの連中に指示を送る。

 それと同時に周りの兵士達が僕たちの身体をまさぐり始める。

 頼むから普通に「免許見せて?」みたいに言ってくれないかな?

 そう言われれば普通に出すからさ。

 一応これでも女の子なんですが僕。


 「こちらです、ゼロ王」


 僕のポケットから、そして先生のパンツから身分証を回収した兵士が目の前の”王様”と呼ばれる人に二枚のカードを差し出した。

 何故パンツかと聞かれれば、この人がモノを無くす天才だからとしか言えないだろう。

 裁縫が趣味という事もあり、彼のパンツはポケット付きに改良されているのだ。

 だからなんだと思うかもしれないが、パンツポケットを付けてから免許を無くさなくなったので結構優秀だ。

 その代わり服と一緒に洗濯されてしまった事は数えきれないが。


 「う、うむ……」


 王様は受け取ろうとした手を引っ込め、隣に居たローブの人物を呼びつけた。

 その人物もやはり顔を顰めながら二枚のカードを受け取ると、掌を翳しながらブツブツと何事か呟き始める。


 「カラスマ モリオ、犯罪歴無し。 討伐歴、シャドーウルフ32体。 レッドベアー1体、登録日は……本日です。 過去の履歴はございません、恐らく”異世界人”かと」


 「なんだと?」


 より一層顔を顰めた彼が、先生の事を見つめる。

 僕帰ってもいいですかね、なんか重要そうなの先生だけみたいだし。

 

 「もう一人はクロエ ネコ。 討伐歴はシャドーウルフ1匹、レッドベアー討伐補佐。 同じく登録日は本日、こちらも”異世界人”かと思われます。 そして犯罪歴は……王族への暴行、となっております」


 おいテメェふざけんな。

 犯罪歴ってなんだよ、急に息を荒げながら迫ってくる変態を撃退しただけだろ。

正当防衛でしょ、正当防衛だよね?

 なんて事を思ったりもするが、流石に言い出せる雰囲気ではない。

 これはかなり不味いなぁ……罰金くらいで済めばいいが。

 でも王家とか王族とか言われている時代だと、そんなのに手を出したら極刑だよなぁ……国外逃亡出来ないかなぁ……

 ため息が零れそうになるのをどうにか抑えながら、遠い目で王様を眺めていると。


 ふぅ……と一度ため息を吐いて、王様は天を見上げた。

 よくサラリーマンの皆様が、死んだ魚の目をしながら同じような行動をしているのを見かけるが、この人もお疲れなのだろうか。

 であれば僕らの事など放っておいて休むといい、是非そうしていただきたい。


 「我が国には今”勇者”と呼べる異世界人はおらん、だからこそ喉から手が出る程欲しい存在であるのは確かだが……今回は二人、なのか?」


 再びジロリと視線をこちらに向けた王様は、僕たちを見ながら盛大にため息をついておられる。

 多分どっちか一方が異分子なんじゃないですかね?

 おそらく僕の方なんで、解放してくれません?

 戦闘力って意味でも、僕じゃ役に立ちそうにありませんし。

 ね、ホラいらないじゃん? 解放しちゃおう?

 当然そんな事にはならないと予想しながらも、思考の中では完全に現実逃避が始まっていた。

 本当にもう嫌です、帰りたいです。


 「とにかく、この二人の”スキル”を調べよ。 そしてクロエ……といったか? その娘が”勇者”と呼べる何かを持っているのなら考えるが、ハズレだった場合は……犯罪奴隷か死罪が妥当だな。 処分しろ」


 王様が疲れた様子で手を振ると、隣のローブ野郎がどこからかバスケットボールくらいの水晶玉? を持って近づいて来た。

 ていうかちょっとまって、なんか今王様から不吉な単語が聞こえたんですけど。

 なんて思った時だった。


 「おいお前、今なんつった?」


 隣からベキッと鈍い音が響き、さっきまで手首を拘束されていた筈の先生が肩を回しながら立ち上がった。


 「おいこら髭。 てめぇ今猫を殺すって言ったか? 言ったよな? つまり俺に全面的に喧嘩を売ったって事でいいんだよな?」


 あ、不味い……この人が僕の事名前で呼ぶときは、絶対怒ってる時だ。

 そんでもってこの筋肉は、本気でキレるとマジで手が付けられない。


 「せ、先生? あのちょっと落ち着いて……」


 言葉が終わる前に、さっきまで先生が居た場所の床が剥がれて宙を舞った。

 そして本人は既に目の前から消失している。

 やっぱこの人こっちに来てから身体能力上がってるよね!?

 踏み込みも初速も人間のモノじゃないんですけど!?


 「父さん! ストップ!!」


 思わず叫んでしまった。

 普段は絶対呼ばない呼び方で、全力で制止を促してしまう。

 それくらいに不味い。


 「なっ……」


 予想通り、どこぞの筋肉馬鹿は目の前の偉い人に対して踏み込んだ後だった。

 彼は王様とやらの顔面に拳を突き付けた状態で、それこそスレスレで止まっていた。

 あっぶねぇ……もう少し遅れたら王様ぶん殴ってたよこの人。

 肝が冷えるなんて表現があるが、多分こういう時の為にあるんだろう。

 筋肉馬鹿が王様をぶん殴った瞬間、二人仲良く首が飛ぶ未来が来てしまいそうだ。

 中世あるあるのギロチンとかで、そりゃもうスパーンと。

 絶対やだ、殺すなら安楽死にしてくれ。


 「覚えておけよ髭オヤジ……次に同じこと言ったら俺がぶっ殺してやるからな?」


 やけに低い声を上げながら、彼は拳を引いて王様から離れた。

 周りからは罵声、というか騒がしい声を上げながら武器を持って駆け寄ってくる鎧の人達が居るが、どうやら先生には見えていないらしい。


 「……娘?」


 「あぁ、俺はコイツの父親だ。 苗字も容姿も違うが父親だ。 我が子を殺そうとするボケを許す親が居ると思うか?」


 なんかそれっぽい事言ってますけど、今現状貴方王様に喧嘩売ってますからね?

 ダメでしょ、一発打ち首のヤツでしょ。

 そして当然の如く四方八方から武器を向けられてしまう先生。

 あぁもう、あっちもあっちで暴行未遂とか犯罪歴ついちゃったんじゃないのコレ?

 初日から犯罪者だよ、どうなるんだよ異世界生活。


「そうか……だが我が息子に暴力を振るったというのは、どうしても罪に問わなければ示しがつかんのだ。 可能な限り穏やかに済ませる事を約束しよう……なので、その、えっと。 もう少し離れてくれんか?」


 威厳があるんだがないんだか分からない口調で、先生の説得に試みる王様。

 彼の全身から噴き出す様な汗をかいているのは、多分見なかった事にしたほうがいいんだろう。

 というか意外にも穏便に終わりそうな気配。

 無礼な! 首を跳ねてしまえー! とか言われるのかと思っていたが、やはり親という立場同士何か思う所でもあったのだろうか。

 もしくは目の前の鬼みたいな人が単純に怖いだけか。


 「あの……鑑定結果が出ました……」


 微妙な空気の中、隣でやけにデカい水晶玉を抱えていたローブマンが控えめに手を上げた。

 あぁそういえば、”スキル”がどうこうって話をしてたんだっけ。

 サンドバックになれる鎧は頂いたが、こっちもこっちで僕たちには重要な項目なのだろう。

 是非とも少しくらい生活が楽になる”スキル”とやらを所望するところだが……絶対宝くじの一等が当たるスキルとかだったら泣いて喜ぶ。

 もう日向ぼっこしながら余生を過ごす。


 「お二人とも”肉体強化”のスキルをお持ちです……そして、えっと……以上です」


 気まずそうに、ローブの男が視線を反らした。

 あ、この反応どこぞの妖精でも見た事があるぞ?

 あれだ、”外れ”だった時の顔だ。

 それ以外の何物でもないやつだ。

 どれくらい外れなのか分からないが、履歴書の資格欄に『原付免許』とだけ書く残念さくらいだと有難い。

 それ以上だったらいよいよ泣きたくなる。


 「嘘じゃろ? だってさっき、この男……ゴホン、カラスマ殿は一瞬で私の元へ跳躍したぞ? あんな事が出来る人間がそれだけ? そんな馬鹿な」


 未だ筋肉に睨まれる王様が、脂汗を流しながらローブマンに声を掛ける。

 どうか間違いであって欲しいと願っているようだが、残念なことに隣の人は静かに首を横に振る。

 この人は筋肉お化けだ、確かに普段からびっくりする程の速度で踏み込んでくる。

 だけどさっきのはちょっと異常だった。

 大理石っぽい床を踏み込みだけで砕いた上、瞬間移動でもしたんじゃないかってくらいの速度で飛び込んでいったのだ。

 流石に筋肉と物理では説明できないだろう。

 そしてその理由が“肉体強化”っていうスキルだという事なのか。

 おかしいな、僕も持っているって言ってたけど……あんな事出来る気がしないのだが。


 「カラスマ殿は我が国の”勇者”として迎える。 そしてクロエ殿は……一旦、”優良奴隷”の処罰を与える。 あ、ちょっとカラスマ殿、拳を掲げないで頂きたい! 大丈夫! 大丈夫な処罰だから!」


 彼は諦めた様な顔で息交じりに言葉を紡ぐと、再びミチミチと上腕二頭筋から妙な音を立てる先生に迫られ、王様は真っ青な顔で叫んだ。

 さっきから忙しい人だ、言葉遣いとか色々滅茶苦茶になって来ているし。


 それはまぁいい、いいけど”優良奴隷”ってなによ。

 大丈夫な処罰らしいが、結局は奴隷なの?

 フルフル震えながら、「畏まりましたご主人様」とか言わなきゃいけないの?

 え、凄いヤダ。


 「とにかく! 後ほど説明する! 今はまず場所を変えましょうぞ!」


 徐々ににじり寄ってくる筋肉をどうにかしようと、再び悲痛の叫びが漏れていた。

 もうおっさん達の絡みはどうでもいいよ。

 それで結局、僕どうなっちゃう訳?

 その質問に答えてくれるはずの妖精は、僕たちが捕まった辺りから姿が見えないし。

 アイツ絶対あとでゴ〇ジェットをぶっ掛けてやるんだからな。


 ――――


 問題の二人が退室していき、改めてため息を吐きながら王座に体重を預けた。

 あれ程までの殺意を正面から向けられ、眼前まで敵が迫って来た事などいつ以来だろうか。


 「御体の具合は大丈夫ですか? 王」


 隣に立っていたローブの男……もとい私の幼馴染でもある彼が心配そうにのぞき込んで来た。

 彼の前だけならまだしも周りに居た兵にまで醜態を晒す結果となってしまったのは、今思い出すと非常によろしくない。

 また厄介な“勇者”が現れたものだ。


 「あぁ、問題ない。 それから周りに人が居ないのだから、その固苦しい口調は止めろ。 私とお前の仲だろう、ラガー」


 ラガーと呼ばれた男はやれやれと首を振ってからフードを外し、疲れた顔でため息を溢した。


 「わかったよゼロ。 しかしなんともまた、厄介なのが来たね。 どうするんだい? 本来ならあんな行動を取った者、勇者であろうと死罪にしてもおかしくないのに」


 答えなど分かり切っているだろうに、意地悪くもそんな質問を投げかけてくるラガー。

 もしもあの状況で二人に正規の罰則を与えようなどと言い始めれば、はたしてどうなっていたか。


 「あのカラスマという男は危険だ、ここに居た兵士達ではとてもじゃないが相手する事は出来なかっただろう。 しかしあの男にも弱点はある、そこを上手く使えばこの国の戦力にもなるだろうさ」


 「クロエっていう子供かい? 確かにあっちの方が扱いやす雰囲気はあったけど……そう上手くいくかな。 いっその事二人共奴隷にするっていう罰則を与えてしまった方が――」


 「それが出来れば早かったのだがな、あの状況でお前はソレを言って無事に済んだと思うか?」


 先程の空気を思い出したのか、ラガーは青い顔をしながら静かに首を振った。

 一瞬で間合いを詰め、気づいた時には目の前に拳があった。

 クロエという娘が声を上げなければ、私の首は今頃胴体と繋がっていなかっただろう。

 ただの人間なら兵士達でも取り押さえられる。

 だが彼らは勇者と呼ばれる異世界人。

 時には未知の知識を、時には圧倒的な武力を齎す存在。

 どこの国も彼らの様な存在を取り込もうと躍起になり、事実勇者が付いた国は周りから無視できない程の脅威となるのだ。


 「今回は二人、しかも親子だと言うのだから扱いづらいね。 一人でも強力なのに、よりによって絆の深い者がいっぺんに召喚されるなんて」


 問題はそこなのだ。

 大体の国は異世界人が来た場合、待遇で釣る。

 金や異性といった彼らの望む物を国が用意し、その代わり力や知恵を借りる事が多い。

 しかし余りにも横暴だったり、まるで役に立たなかったりする“ハズレ”だって居るのは確かだ。

 そして実績を見たところ、娘の方はハズレ勇者な可能性が高いと思われる。

 であれば今回の様に奴隷に落とし、引き出せる知識がないか調べるのが妥当……なのだが。


 「娘の方を下手に扱えば、あの男が再び暴れだす可能性が高い。 せめて他人同士であったのなら、美女の一人や二人くれてやれば気をよくして、連れの事など忘れたかもしれぬのにな……」


 力を持った勇者を敵に回した時、国の被害は甚大なモノになるだろう。

 味方をしてくれるのなら何よりも心強いが、敵になった場合は何よりも恐ろしい。

 そして周囲の国が勇者を所持している場合は、一刻も早く自国でも戦力になる勇者を囲わなくてはならない。

 本当に厄介な話だが、これが今この世界の現状。

 “勇者”とは世界にとっての“知恵の実”であり、武力としての“道具”なのだ。


 「幸い娘の方は“優良奴隷”とはいえ、国の管理する奴隷になった訳だから……しばらくは様子を見るしかないだろうね。 買い手がつかないだろう値段に設定したし、彼女を買って解放するようなお人よしが居ない限りは、勇者二人をこの国置けたと納得するしかないよ」


 「そうだな、奴隷制度もある事だ。 戦争が起きても、彼女が居れば彼は戦場に立つ他――」


 などと話していると、視線の先にある扉が勢いよく開かれた。

 一瞬彼が帰って来たのかと肝を冷やしたが、そこに居たのは見慣れた姿だった。


 「父上!」


 「やっと起きたかバカ息子め。 召喚された勇者を見つけて来たのは褒めてやるが、お前のおかげで随分と面倒な事になった――」


 「勇者云々などどうでもいいのです! あの子は、あの黒髪の少女をどこへやったのですか!?」


 随分と興奮した様子で、額に青筋を立てながら詰め寄ってくる息子。

 三度の飯より剣が好きで、子供たちの中でも一番武力に優れている。

 逆を言えば剣の事しか頭になく、息子たちの中では次の王を任せるというのが一番不安な存在というのが正直な所だった。


 「お前が剣と修行以外の事で興奮するとは珍しいな、何があった? 詳しく聞かせなさい」


 息子を殴り飛ばして気絶させた少女、クロエ。

 彼女に随分と固執しているようだが、まさか殴られた仕返しをしようなどと考えている訳ではあるまいな。

 現在奴隷となった彼女では、王族の命令には逆らえない。

 そんな状況で相手を痛めつければ、もう一人の勇者が黙っていないだろう。

 普段温厚な息子の事だ、流石にそこまではしないと思うが……

 などと不安に駆られていると、ウチのバカ息子は鼻息を荒くしながらやけに顔を近づけてきた。


 「彼女は僕を殴ったんです! そんな女性今まで居なかった。 媚びへつらう事などなく、真っすぐにこちら見て、目にも見えない程速い拳で僕の事を打ち抜いたんです!」


 まさかと思っていた事態が発生してしまっているらしい。

 年端もいかない少女に伸された事が、相当プライドを傷つけたのか。

 もはや息子の目には、周囲が見えない程曇っているらしい。


 「よく聞け、バカ者。 確かに普通なら死罪にする所だが、彼女もまた勇者。 そしてもう一人とも親子関係にある。 そんな彼女をどうにかすれば、彼をこの国に置くことなど――」


 「つまりお義父さんに当たる訳ですね! ならば挨拶してこなければ!」


 「……ん? お前今何といった?」


 走り出そうとする息子の襟元を掴んでどうにか止めると、バカ息子は相変わらず興奮した様子で振り返りながら距離を詰めて来た。

 近い。

これを女性に対してやったとするなら、殴られたとて文句は言えないだろう。


 「ですから、彼がお義父さんになる訳ですからすぐに挨拶しないと! それから彼女はどこへ!? 今すぐ会いに行かなくては!」


 「うん、待て。 お前は何を言っている? 彼女をどうしたいのだ?」


 「脳天を突き抜けるような衝撃、美しくも冷たい眼差し。 僕は彼女に、ホレました!」


 何をどう拗らせたのか、ウチのバカ息子……スミノは、これまたおかしな事を大声で叫んだのだった。


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