Prologue はじまりのはじまり
君との出会いには運命染みたものを感じた。
運命だなんて恋愛映画や漫画の中で使うくさい言葉に感じてた僕だけど
君との間には確かに赤い糸を感じたんだ。
僕は海外で暮らしていて君は留学でひょんなことで知り合った2人
確か僕はあと2ヶ月後に帰国で君は会った日から2日後には帰るって言ってたっけ
僕らは同い年でさ、日本で住んでるとこが全く違う2人。
もし僕が一年、早くそれか遅く ここに行く選択にしていたら
もし君が一年、いや、そもそも ここに来る選択をしてなかったら会えなかった
そんな二人が日本から外国に、20歳の時に、
この年の、この月の、この日、スーパーで買い物をするって選択をしたから会えた2人。
運命だなんて恋愛映画や漫画の中で使うくさい言葉なんかじゃなくて
選択と選択が重なり合って一つに繋がってそれが運命なんて赤い糸の形を変えて
まだ知り合ってなかった二人を繋げるものだなんて思ったんだ。
そんな君を繋げてくれた海外での生活はハードだった。
期間限定での生活だ。どうせならこの一年を激動にしたくていろんなところを回りたくて
仕事を見つけても数か月でやめて新天地に赴き、新しい仲間と楽しんでいた が
新しいことをするには体力を使う
最初は好奇心が体力よりも勝っていた。
あんなに世界は輝いていたのに
今では僕は年老いたようで全てがキラキラしていたこの世界の色が徐々に失われてた。
やっぱり、世界は自分の感じ方次第は何色にもだってなるんだって
だって今、色が生まれだしてるからさ
これはまだ君と付き合う前、出会って初めてメアドを交換して初々しかった時の二人。
「あぁー、疲れたー。肉体労働ってあれだね
慢性的に疲れがたまって気づいたらこんなとこまで来てたのかって
疲れの階段上る 僕はもう疲れているのさだね。」
「仕事終わったの?おつかれー
私は大人の階段上って、シンデレラだけど
かおるはただ疲れているだけだね。」
なんてみなみに仕事終わりのくだらないメールを送って
そのやり取りをしながら今日のご飯を作る。
僕は自炊なんてハイレベルなスキルを持ってないまま来て
既には7か月が経ってる。
7か月経っても僕のご飯の色は茶色いまま。
むしろここまで成長しない自分に栄誉を称えたい。
かおるよ。来世ではお弁当箱っていう小さな世界に色とりどりな世界を作ろう....
ご飯を作り終えて、いただきますをきちんとして
いざ食べようと、大きな口を開けてアホずらな時に
ピロン
「もーご飯作り終わった?
今日ね、バイト先に親子が来て席の近く通ったら手を振ってくれてすっごいかわいかった!!」
いいタイミングにメールだ
でもみなみから送られてくるこういうなんともない嬉しかった出来事の話
嫌いじゃない。むしろ好きだ。
僕がご飯食べてるときは君はまったりとしながら僕にメール送って
僕が眠る頃には、次はみなみがご飯を食べだすのかな。なんて
国内恋愛じゃできない感覚に溺れながら今日一日のを流す
みなみと3時間という時差と僕と3人ぼっちで時を過ごしてて
メールが3時間前へ過去へ時間を超えてみなみのとこへ届く。
そのメールを見て、みなみが3時間先の未来の僕のとこへ送る。
すごいことのように聞こえるけど
送り合っているメールの内容は、大したことなくてまたそれがおかしかった。
この不思議な感覚が嫌いじゃない。別にこれは好きではない。
みなみとのメールのやりとりは本当に楽しかった。
次第に声を聴きたい、お互いの声で話したいなんて感情が沸いて話せるチャンスを伺っていた。
そんなくだらないやり取りを仕事を数日か過ごして
僕は明日、仕事休みでみなみも今日はバイトないはずだったから
はじめてみなみに聞いた。
「今、空いてるかな? 電話して話したいさ。」
いつもより緊張してみなみからのメールを待った