ふたりのあくまのはなし
むかし あるところに
ふたりの あくまがいた
ひとりは あたまのいい おんなのあくま
もうひとりは やさしい おとこのあくま
ふたりは うまれた ところも
そだったところも
おなじ ばしょ だった
ふたりは すこしずつ としをとり
すこしずつ ふれあい
すこしずつ こいをしった
ふたりは とても ゆうしゅう だった
ふたりとも せいふで はたらき
とても かつやくした
せいふの あくまだった あいてを
おたがい ほこりに おもっていた
しかし それも ながくはなかった
あるひ おんなのあくまが たおれた
あくまにしか かからない ふじのやまい だった
おとこのあくまは どうしても
おんなのあくまに いきてほしかった
おんなのあくまと もっといたかった
おとこのあくまは せいふをやめ
ひっそりとした もりのなかで
あるのろいを じぶんに かけた
それは きんじられた のろいだった
だいすきな なかまがいる せいふに
つかまってしまう のろいだった
そして そののろいは
かけたほんにんの いのちをくう
そんな のろいだった
にんげんの ねがいをかなえる
にんげんの ゆめをかなえる てだすけを
じぶんのいのちと ちからをあたえることで
かなえさせてあげる のろい
そして たくさんの ねがいや ゆめを かなえると
あらわれる はな
それが あくまのせかいでは
なんでも なおす くすりに なった
しかし それは どうじに
のろいを かける あいての いのちのはな
それが きんじられた のろい
おとこのあくまは
じぶんの いのちを ぎせいにしても
あいする おんなのあくまに
いきていてほしかった
おとこのあくまは
たくさんの ねがいや ゆめを かなえた
もうすこし
もうすこしではながさく
けれど どうじに
じぶんのおわりも かんじていた
そして あるひ
あとひとつの ゆめが かなうしゅんかん
せいふに それが ばれてしまった
おとこのあくまが つかまれば
どうじに おんなのあくまも しんでしまう
おとこのあくまには もう
おんなのあくまをつれて にげられるだけの
ちからが なかった
そのときに おとこのあくまは けつだんをした
また おんなのあくまと らいせで であうことを
そのときは にんげんに なることを
おんなのあくまを つれて
もりの ふかい ふかいところに いく
おとこのあくまは てに あかい どくをもって
せんにちこうで つくられた どくをもって
まずは おとこのあくまが ひとくち
そして もううごくことも できない
おんなのあくまに くちづけて
ふたりは てを つなぎあって
めをとじた
おとこのあくまは あるにんげんを おもいだした
じぶんのせいで しんだ すきなひとの
うまれかわりに であおうと
ふろうふしをねがった おとこ
おとこのあくまは
どこかじぶんににている かれが
しあわせになることを いのった
なぜか そうしたら
おとこのあくまと おんなのあくまは
またであえるきが したからだ
おとこのあくまを とらえようとした なかまたちは
さいごのさいごまで
ふたりを みつけることは できなかった
それでも なかまたちは
ふたりのしを かくしんし
ふたりのしあわせを ねがった
せいふとしてではなく
ひとりのあくまとして
いのった
むかしむかし
ふたりのあくまがいた
さいごまでおたがいをあいしつづけた
ふたりのあくまの ものがたり




