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空想の花
花から生まれた姫は、紆余曲折を経て王子と出会い、結ばれ幸せになる。
花の国の女王はどうやらそういう煌びやかで幸せな逸話があると民は噂しているんだとか。
「んなわけないのにねえ」
確かに合ってる。合ってるわよ。
私は花から生まれたし、多種多様の外見の輩からプロポーズされたわ。
そしてその後、この場所で花の国の王子だった今の旦那と出逢って恋をして、結婚する。
そんな「童話みたい」なお話は確かに美談として存在していたわ。
但し、それはもうとっくの昔の話なのよ。わかる?
旦那は思ったより草食系で優柔不断、花の国は優雅で温かくて、刺激なんて何も無い。
ああ、それに噂では隣国の沼の国の王子が攻め入ろうと画策しているらしいじゃない。
彼処の王子って私がプロポーズされて逃げ出した人でしょ。だって蛙って。だってヒキガエルって。
まあいいわ、何だっていいのよそんなのは。
うちの国に戦争吹っ掛けてこようとする国なんて大層なものだわ。
ねえ、あんた。
もしあんたが私の「物語」を記録する人間ならね、ちゃんと書いていて。
私のお話は花から生まれて王子と結婚した可愛らしくてちっぽけで何処にでもある話になんかしないでよね。
チューリップから生まれた小さな小さな「リルラ」姫は、大変な戦闘狂でした、とか書いておいて。




