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白猫と王子様

 とある国の王子は何時の頃からか上品で可愛らしい白猫を飼っていた。

 その猫をクオリアと呼んでいた王子は、色んな所に猫を連れて歩き、その姿から国民は「猫王子」と彼を呼んだりしていたものだ。

 しかし王子は特段猫が好きな訳ではないようで、自身の飼い猫以外には特に興味は無かったらしい。

 王子は何故か嫁を娶らず、また子供も作らなかった。

 そしてその理由を、飼い猫がいるから嫁や子供は必要ないと従者達に言っていたという。

 何故そこまで飼い猫を可愛がるのか、彼は結局晩年まで誰に喋りはしなかった。

 しかし、彼の真っ直ぐな愛は国民に高く評価されていた事も事実である。

 そして不思議な事に、彼の飼い猫は彼が死ぬまでずっと生き続け、老いることもなく彼の傍に居続けたのだ。

 従者や国民は、猫が化物の類ではないかと噂していたが、真意は王子以外知らなかっただろう。

 そうして白猫と、白猫を愛し続けた王子は、死の間際にその地位を弟に譲るまで国を守り続けた。


 王子の死後、気づけば彼の最愛の白猫が何処かに居なくなってしまっていた。

 慌てた王は従者や国民と国じゅうを探したが何処にも居らず、結局見つかることは無かった。

 そこで国一番の占い師に白猫の居所を調べてもらうと、占い師は嬉しそうに、優しく微笑んで言ったのだ。


「ああ、大丈夫ですよ王。彼の愛しき白猫は、彼と共に深い眠りについております。」


 王は従者と共に王子の墓へ訪れ、棺を掘り出し開けてみることにした。

 そこには、仰向けに寝かせた一人の綺麗な遺体と、その上に擦り寄るように横たわる、一匹の白猫の遺体があった。

 王はその二つの遺体を棺ごと移動させると、王子と白猫の小振りな銅像を建て、その下に棺を埋めた。

 彼はその一人と一匹の姿を、皆に愛して欲しいという。

 愛しい我が兄と、その兄がただ愛した白猫を、皆に愛して欲しいのだと。

 やがて国には、「白猫と王子様」という御伽噺が出来上がった。

 その御伽噺は王の死後、何年も、何十年も、何百年も受け継がれ、改変されることもなく話継がれていく。

 国の真ん中にある、小さな銅像と共に、大切に残されていったのだった。



「クオリア、私を愛してくれてありがとう」

「ええ、カルヴァ。私こそ、猫の姿になってしまった私を愛してくれてありがとう」

「また生を受けるならば、君とまた共に居たいよ」

「当たり前よ。私は何処にいてもあなたを探しますからね」

「ああ、私もだよ。クオリア、クオリア。……愛しているよ。」

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