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男嫌い魔法使いエルフ  作者: お茶のこ
第1章 エルフの村
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第9話 家族

長めかな?

「…ん?あれは何だろう」

何か落ちている。拾ってみるとそれは赤く光る玉だった。

「玉?何だろうこれ。一応持って帰ろうか」

ドラゴンを倒せた。その達成感や疲れがありアリスはその場に倒れてしまった。

「はーーーーー疲れた。こんなに疲れたのは初めてだよ」

前世であまり運動が得意ではなかったアリスは室内にいる事が多く、疲れる事も少なかった。

「これで村は救えたのかな。帰ろうか」

きっとリンさんとリリーちゃんが心配して待っている。疲れた体を起こし、村に向かって歩き始める。自分の体に治癒魔法を試してみたら思っていた以上に効果があり、そのあとは急ぎ足で村に戻った。

村に着いた直後、声が聞こえた。

「アリスちゃん!」

その声が誰かはすぐに分かった。

「大丈夫だった!?怪我はない?」

「ええ、無事に討伐して戻って来ましたよ!」

笑顔で答えてみせる。

「え…?本当に…?」

驚いた顔をする。倒せるとは思ってなかったのだろう。一応証拠になるかと思い先ほどの赤い玉を渡してみた。

「これは…!竜王の宝玉じゃない!」

「竜王の宝玉?」

何だろう。名前的に竜王を倒した時に貰える素材か何かかな?あのドラゴンの名前にも王って入ってたしきっとそうだろう。

「まあとりあえずこれで倒せたという証明ができ…」

証明できたと言おうとしたらリンさんに抱きしめられた

「…え?」

「ありがとう…村を救ってくれて。辛い事を押し付けてしまった本当に申し訳なかったわ」

涙を流しながら言われた。あぁ…感謝されるってこういう事だったんだ。

「…あれ?おかしいな、嬉しいはずなのに涙が」

なぜか涙が止まらない。分からない。何で自分が泣いているのか。

「あのね、おかあさ…」

言い間違えてしまった。自分に優しくしてくれる母が欲しかったという願望からなのかそれともリンさんが母のように愛を与えてくれる存在だと思ったからなのかわからないがそのまま言葉に詰まってしまった。

「良いのよ、おかあさんと呼んでも」

優しい言葉にまた涙を流してしまう。

「おかあさん、私頑張ったんだよ。辛い事もあったし何度も死にたいと思ったの」

「うん」

おかあさんは黙って話を聞いてくれている。これは私しか知らない前世の話なのに。なんの疑問も持たずに黙って頷いてくれる。

「周りに何と言われようと生きようって。頑張ろうって思い続けてたのにね。気づいたら諦めてた。私は弱い子なの。だから誰も私なんかを愛してくれない」

泣きながら今までの思いをぶちまけてしまう。ドラゴンを討伐してきたよ!って笑顔で言うつもりだったのに何でこうなったんだろう。でも嫌な気はしない。鬱憤は全て吐き出してしまったのだ。

「それは違うよ」

「え…?」

「アリスは弱い子なんかじゃない。他の人を笑顔にするために戦った。誰でも簡単にできる事じゃない。アリスが強いからできた事なの」

「そう…なの…?」

「ええ。それに誰も愛してくれないなんて間違いよ。だって私は今あなたを本当の家族のように受け入れてるしリリーだって同じことを思っているはずよ」

涙が止まらない。愛されている。必要とされてるんだ。決して不要な存在じゃなかった。

「今日から私たちは家族よ。遠慮なんていらない。いくらでもおかあさんと呼んで良いし例え迷惑をかけても何も問題ない」

こうしてドラゴン討伐をきっかけにアリスは大切なものを得た。

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