第4話 私の信念
「男がいない?」
「はい、実は数日前村の近くにドラゴンが住みついたんです。それから森が荒らされて困っていたところ、村の男で討伐しようということになったのです。ほとんどが魔法のエキスパートなので大丈夫という結論になったらしいのですが実際に戦ってみるととても勝てるような相手ではなかったそうです。なんとか撤退はできたのですがほぼ全員が怪我をしてしまい現在は妖精の泉という場所で治療をしています」
何人いるかは知らないけど全員が怪我ってそのドラゴンとんでもないね。せっかく同族の住む村を見つけたのに荒らされるのは見逃せないな。よし決めた私が討伐しよう。
「あの、私が討伐します」
「何を言ってるの!勝てるはずがない!」
驚いた表情でリンさんは言った。まぁそうなるよね。村中の男が束になって戦ったのに勝てなかった相手をこんな小娘が倒せるはずがない。ごく普通な考えだ。でもここでやらなきゃ村や森が危ない。だったらやるしかない。ここ以外にエルフがいるかなんて分からないしここで見捨てたらもう同族には会えないかもしれない。それに、困ってる人たちを見捨てるなんて私にはできないよ。私は困ってても助けてもらえなかった。助けてくれない人を憎んでいた。力があるのに見えてないフリをする。私はそんな卑怯者にはなりたくないんだ。救えるものは救う、救えないものでも救おうと努力する。私はそれができる力を貰ったんだ。
「ここでやらなければ危ないんですよね?だったらやりますよ。それに私は魔法に関しては誰にも負けない自信があります。やらせてください」
真剣な表情で私は言う。例え止められても私は行くよ。
「…分かったわ。でも絶対に無理はしないでね。せっかく見つけた新しい仲間は失いたくないもの」
リンさんは不安そうな表情のまま私にそう告げた。
「討伐に行くにしてもまずは準備をしないと。とりあえず村まで行きましょう」
そう言って再び歩き始めた。