第3話 自己紹介
「大丈夫ですか?」
襲われていた親子と思われる2人に話しかけてみる。
「あ、ありがとうございます。あなたが来てくれなければ死んでいました…」
なんとか怪我なしに救えたようだ。それにしてもこの人…エルフだ!エルフが自分だけだったらどうしようかと考えていたとこだったから出会えて嬉しい。
「お礼をしたいのですが差し上げられる物が無くて…」
別にお礼なんていらないのに。たまたま見つけたから助けただけだし…。あ、そうだ町に案内してもらえばいいんじゃないかな。きっとエルフの町なんかがあるんだろう。
「実は道に迷ってまして、近くの町や村に案内してもらう事はできますか?」
「はい、私たちが暮らす村に案内できます!もし行き場に困っているのでしたらお礼もしたいのでぜひ家に来てください!」
それはありがたい、案内してもらってもお金が無いから宿に泊まることもできないし最悪野宿するところだったからお言葉に甘えて案内してもらおう。
「ありがとうございます、ちなみにここから近いんですか?」
「それほど遠くないはずです。あ、そうだ自己紹介をしてませんでしたね。私はリンと言います。そしてこっちが娘のリリーです」
「リリーです、よろしくお願いします」
やっぱり親子だったね。まぁ顔も似てるしそうだろうとは思った。そうだ、自分の名前はどうしよう。前世と同じだと面白みも無いし何かいい名前は…
「私はアリスと言います」
とっさに思いついたアリスという名前を今後名乗ることにした。忘れないようにしっかり覚えておこう。
「アリスさんですか、素敵なお名前ですね。では村に行きましょうか。どんな村なのかは歩きながら説明しますね」
とっさに思いついた名前が褒められてしまった。変だとは思われてないみたいだしこのまま変えなくても大丈夫そうだね。そうだ、村に着く前に自分が男性と関わらない事を教えておかないと。リンさんの旦那さんがいれば迷惑をかけてしまうかもしれない。
「あの、実は私男性と関わるのが難しいんです。村の男性にはもしかしたら迷惑をかけてしまうかもしれないのですが…」
それを告げた途端、同情するような目線を向けられた気がした。過去に何かがあったと考えたのだろうか。
「そうですか…ですが今は大丈夫だと思います。現在村の男は全員村の外にいるので…」