第16話 人間に出会う
「そうだ、このまま町に行っても入れないじゃん」
アリスはエルフが珍しい種族であることを思い出し、このままでは問題が起きることに気がついた。
「うーんどうしよう。耳を隠せる物なんて無いし…そうだ、魔法で何とかなるかな?」
さっそく魔法を試してみることにした。魔法についての知識はあっても使ってみないとどんな感じなのかがわからないため、実験は大切である。
「どんな魔法を使うべきか…あ、変身魔法ってあるのか。使ってみよう。そーれ」
そう言って耳が人間のようになるのをイメージしつつ使ってみると…
エルフ特有の耳が人間の耳に変化した。
「おーすごい!これなら全然分からないね」
変身魔法は常に魔力を消費するので普通は長時間使わないのだがアリスには他の魔法使いとは比べ物にならないほどの魔力があるので問題は無かった。
「よーし、これで安心して町に入れるぞー」
町に着くのを期待半分、不安半分でアリスは歩き続けた。
数時間後
今までずっと並んでいた木に終わりが見えた。そう、ここが森の出口である。
「森はここまでなのか。これでいよいよ旅立ちって感じが出てきたね。…いってきます」
アリスは森に向かってそう告げ、再び人間の住む町に向かった。
「体力には問題はないけど何もないからつまらないな、どうしよう」
周りには何も無く、景色を楽しむこともできないのでアリスは暇を持て余していた。モンスターが出るわけでもなく、平和そのものなのだがやる事がない。
「いっそのことモンスターでも出てきてくれた方がやる事ができていいんだけど」
そんな事を呟きつつ歩いているとアリスは見つけてしまった。モンスターではなく盗賊と思われる人達を。
「うーん?怪しい格好だな。まさに盗賊みたいな見た目だ」
それはアリスの偏見なのだが、そんな事を考えていた直後、近くの馬車を襲い始めたので間違いない。
「え、本当に盗賊!?た、助けないと!」
そう言ってアリスは魔法を使う。
「とりあえず死なない程度で…えいっ」
アリスはかなり力を抜き、風の魔法を放った。しかしアリスは完全に忘れていた。自分が魔力を上昇させる杖を持っていることを。
その結果弱めに放った魔法が大きな魔法になってしまった。
「……」
やってしまった。え、死んでないよね?流石にこれは威力出すぎじゃ…
「だ、大丈夫ですか?」
とりあえず襲われていた馬車に乗っていた人に話しかけてみる。
良かった、女性だ。男性だったら怖くて話しかけれなかった。
「あ、ありがとうございます。もう少しで大変なことになるところでした」
「たまたま見つけたので助けただけなので大丈夫ですよ」
本当に偶然だったので嘘は言っていない。
「でも助けてもらったからにはお礼をしないと…そうだ、良かったら一緒に乗って行きませんか?これから近くの町に行くのですが」
「本当ですか!町に向かっていたので助かります!」
良かった、町まで退屈はしなそうだ。
ところで、この気絶している盗賊達はどうすれば良いんだろう。
「この人達どうします?」
「そうですね、とりあえず縛って町まで連れて行って警備部隊に渡しましょう。あ、でも重量オーバーになっちゃいますね…どうしましょう…」
まぁこの大きさの馬車に人間6人は乗せられないよね。あっそうだ、これも魔法で何とかならないかな?
「ちょっと試したい事があるんですけどいいですか?」
「?はい、大丈夫ですよ」
さっそく拘束する魔法を使ってみる。
すると箱のような物が出現して盗賊達はその中に放り込まれていった。
「え…何ですかこれ凄いですね…」
「魔法です。この中に拘束されるみたいなのでこのまま引っ張って行きましょう」
箱はとても軽かったので問題なく引きずらそうだ。




