第13話 アリスは村を見たい④
「本を置いている場所ってありますか?」
アリスは少しでもこの世界について知っておきたいので図書館のような場所があれば行きたいと考えていた。
「図書館があるわよ。行ってみる?」
「はい、お願いします」
良かった、この世界にも図書館というものは存在するようだ。
実際に着いたところ、さまざまな本が置かれていた。アリスが知りたいのはこの世界について、主に人間がいるかということや魔法についてを知りたかった。
リリーちゃんが絵本を見たいらしいのでリリーちゃんとリンさんは別行動で絵本の置いている方に向かった。
アリスが最初に手に取ったのは「エルフの生態」というものだ。
エルフは魔法を得意とする種族である。この世界の種族の中では最も数が少ない種であり、珍しい。基本的に森の奥に村を形成し過ごしている。昔は人間とも交流があったと過去の書物に残されているが現在では決して仲が良いとは言えず、交流が無いと言ってもいいだろう。交流が無くなってしまったのは数年前に起こった「エルフ奴隷化事件」のせいであると考える。
「エルフ奴隷化事件…?」
なにやら不穏な文字が見えてしまい、気になってしまうのでその事件について調べることにした。
エルフ奴隷化事件とは、ある人間によって引き起こされた事件である。犯人は約40歳前後の商人の男だ。目的はエルフの奴隷化である。エルフの女性は全員が美しい容姿をしており、性奴隷として捕らえられてしまった。奴隷となってしまったエルフ達は現在でも行方はわからず、すでに貴族達のところに売られてしまったのではないかと推測される。この事件のせいでエルフとの関係は壊れてしまい、人間にとって多大な被害をもたらしたことを忘れてはいけない。最も許せないのは犯人は行方不明であり、いまだに処罰されていないことである。
「そんな事件があったのか…酷い…」
アリスは前世で男から嫌がらせを受けていたせいで男に対して嫌悪感を抱いているのだが、これによりさらにそれが大きなものとなった。
(今も奴隷として苦しんでいるエルフの人はいるんだよね…前世の私は楽になりたいと思って死ぬことができたけど奴隷の人達はそんなことができないだろう。なんて腹立たしいんだ)
どうにかして助けたい。しかし方法なんてわからないアリスは悩むのだった。
(前世の私のように…いや、私よりも酷い扱いを受けているのに楽になることもできず、耐え続けている人もいるんだ。私はその人たちを救いたい。もうこれ以上悲しむ人を出してはいけない)
自分の不幸を悲しみ続けるだけでは意味がない。辛さがわかるからこそ力になるんだと自分の信念を強く持つこととなった。
「よし、これからやる事が決まったね」
アリスは何かを決心したように立ち上がるのだった。
日常パートは終わりです。次回からストーリーが進展する予定。そろそろ第1章も終わります。




