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94話 流れ弾

 廊下の真ん中にツインテールの女の子が突っ立っている。その手には短い水平二連の散弾銃が握られている。


「あんた達ね!好き勝手暴れてるのは!」

「ヤバい!」


 ツインテールの女の子が散弾銃を向けてくる前に中村をタックルで教室に押し込んで俺も一緒に教室に入った。そのあとすぐに廊下に面している窓ガラスが割れた。あっぶねぇ。


「何!?あの子!?」

「大方、ここのボスだろ。……とりあえず逃げるぞ」


 廊下から女の子の声が聞こえる。


「さっさと殺すよ!」

「はい!」


 とは言ったも廊下は出た瞬間にハチの巣にされるし。外は……通れそうなスペースはない。いや、教室の端に避難梯子が設置してある。……前にもこんなことあったような気がするな。


「避難梯子使うぞ!」

「わかった!早く!」


 避難梯子はすでに下に下がっていた。先に中村が降り始めた。それと同時に教室に武装した男の子が入ってきた。


「いたぞ!」

「くそっ!」


 男の子に向けて拳銃を撃つ。が……当たるはずもなく、すぐ隣の扉のガラスを割った。ガラスが割れたのに驚いたのか男の子は身を隠すように扉に隠れた。このまま定期的に撃てば顔を出せないってことか。


「一!早く!」


 中村の声と同時にちょうど弾切れになった。避難梯子に入ろうとしたと、同時に先ほど顔を出した男の子が散弾銃を構えながら入ってきた。


「やっべぇ!」

「しねぇ!」


 避難梯子を降り始めた瞬間に散弾銃が窓ガラスを割った。割れた窓ガラスが降ってくる。避難梯子は2階で止まっていた。なんで2階までしかないんだろうか?


「早く入ってくれ」

「わかってる!」


 中村が窓から2階の部屋に入った。入った部屋はベットが何個か置いてある。どうやら寝室っぽいな。


「これからどうするの?」

「どうするも何も、イザベラの場所を知っているのはリーダーっぽい女の子とその取り巻きだけっぽいからな。誰かを生け捕りにして聞き出すしかないだろ」

「大丈夫?逆に殺されたりしない?」

「そこは気合で何とかするしかないだろ」


 そんなことを話していると、外があわただしくなってきた。ついに来たか。今、廊下に出たところで、ハチの巣にされるだけだ。かといって、こんなベットしかない教室で戦ってもジリ貧になって殺されるのが落ちだろ。


「どうするの!?」

「今考えてる!」


 ふと、廊下を見ると、消火器が置いてあるのが見えた。


「俺が消火器を撃つ。その瞬間に走るぞ」

「……わかった」


 声が近くなってきた。人の影が見えた瞬間に消火器に向けて撃った。銃声とほぼ同時に消火器が破裂して廊下が真っ白になった。


「今だ!」


 真っ白になって視界がゼロの中、中村の手を引っ張りながら廊下を突き進む。


「いでっ」


 誰かを突き飛ばしたっぽいが気にしない。というか、そんなことで立ち止まっている暇はない。


 視界がよくなると同時にリーダー格の女の子が突っ立っていた。


「えっ」


 お互い、一瞬時が止まったように感じた。


「このっ!」


 リーダー格の女の子が手に持っていた短い水平二連の散弾銃を向けてきた。その散弾銃を持っている手をとっさに蹴り上げた。女の子が持っていた拳銃は天井まで蹴り上げられて、そのあと、床に落ちた。後ろから中村が小銃を女の子に突きつける。


「叫んだら撃つよ」


 女の子は無言で首を縦に振る。


「ここだと、邪魔が入りそうだから移動しようか」


 女の子に銃を突きつけた状態で、階段へと向かう。そして、最初に女の子と会ったところまで来た。ここまで来たけど、取り巻きの奴らが追いかけてこないって事は、この女の子人望ないんだろうな。よく、今までリーダーをやってこれたもんだ。それとも別の何かで支配していたのか?


「いい加減イザベラをどこにやったか教えてくれないか?」

「どうせあの金髪女も死んでると思うよ」


 女の子がヘラヘラ笑う。


「おい!笑ってないで早く教えろ!」

「早くこいつらを撃って!」

「一!」


 中村がこっちに向かって飛びかかってきた。いきなりどうした……中村の肩から血が……。


「くっ!」


 中村が進んできた方とは逆の方向に小銃を向けて連射した。肩を負傷しているせいか銃身がブレブレになっている。


「いてえええ!」


 中村が撃った方向で男の子がわき腹から血を出してもがき苦しんでいる。あれで当たってたのか。……そんなことより中村だ!


「おい!大丈夫か」

「大丈夫……女の子は?」


 そうだった!女の子がいた方を見ると、すでに姿はなくなっていた。だが、血の跡が奥の方へと続いている。なんでだ?あいつに向かって撃ってないだろ。


「ちょっと手を貸して」

「あ……あぁ。動けるのか?」

「肩を貫通したみたいだから、まだ何とか大丈夫。……多分私を貫通した弾でも当たった感じだね」


 わき腹を押さえてもがき苦しんでいた男の子は床に血の海を作った状態で倒れて動かなくなっていた。

 中村に肩を貸しながら血の跡を追って校舎を進む。

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