表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
92/94

92話 処刑場

目が覚めると、夕焼けの教室に中村と背中合わせで縛られていた。


「ようやく起きた。体は大丈夫?」

「ちょっとしびれる感じは残っているけど大丈夫」

「イザベラは?」

「しらない。そんなことより、紐ほどけないの?」


 腕を動かしてみると、紐の結び目はかなり緩いみたいだ。


「お、解けそうだ」

「ちょっと待って、誰か来てる」


 ここは、周りを見た感じ体育館倉庫とかそういう感じのところなんだろうか。サッカーボールとか跳び箱とかが置いてある。俺は一体何回捕まればいいんだ?

 扉が開いて。小銃を持った男の子と、軍用の散弾銃を持った女の子が入ってきた。


「こいつ等どうするの?」

「どうせいつものところに連れて行くだけだろ」

「ほんと、あれを考えた中山は性格がひねくれてるよ」

「ほら、立て」


 小銃を向けられた。今、ここで逃げようとすれば、男の子の方は制圧できるかもしれないけど、女の子の方は一歩下がったところにいるからそっちに撃たれるな。おとなしく小銃を向けられながら建物を進む。ここは学校だろうな。教室に置いてある机やいすの大きさから考えると、小学校っぽいな。


「右に曲がれ」


 廊下を右に曲がると、外に出れそうな扉が見えた。


「出ろ」

「いや、手を縛られてるから無理なんだけど」


 男の子が舌打ちをしながら扉を開けてくれた。扉の先は中庭だった。中庭には数体のゾンビがうろついている。え?もしかして……


 後ろの扉が閉められた。扉はよく見ると、窓が鉄板で塞がれている。周りを見ると、校舎に通じる窓も全部フェンスっぽいので塞がれている。


「ねぇ、ここって処刑場的な場所じゃない?」

「だろうな。さっきの子たちも話してたけど、これを考えたやついかれてるよ」

「そんなことよりゾンビに気が付かれてないうちに紐を解いてよ」

「あぁ、わかった」


 縛られいるところを少し手を動かしただけで簡単に紐が解けた。すぐに中村の紐も解く。……こっちは妙に固く縛ってある。


「ヤバい。気が付いた奴がいる」

「とりあえず距離を取るぞ」


 1体が気が付いたことでほかの奴らも気が付いた。マズい。さすがにどこか逃げれそうなところないのか!?周りを見渡すが中央に少し大きめの気が生えているだけの殺風景な中庭だ。少しだがゾンビとの距離を取った。これで中村の手を縛っている紐を解くことが出来るだろ。……いや、なんで中村のだけこんなに固く縛ってあるんだよ!


「くそっ!解けねぇ!」

「早くして!」

「なんか使えそうなもの落ちてないか!?人力じゃ無理だ!」


 周りを見渡すが、奇麗に掃除されていて何も落ちてない。


「こうなればゾンビを倒して持ち物を漁るしかない」

「無理だよ!武器もないんじゃ勝てないよ!」

「何かあるはずだ!」

「わかった」


 処刑場とか言いながら校舎からこっちを見る人影がいくつもあるところを見ると、見世物にもなってる。そう簡単にゾンビに食わせるようじゃ最初の頃はいいかもしれないが次第に飽きてくるはずだ。少しくらい抵抗させて見せ場を作るはず。

 ゾンビを警戒しながら中庭を探すと、長めの鉄パイプが落ちていた。武器はこれだけか。


「一!後ろ!」


 中村に言われるがまま後ろを振り向くと、男性のゾンビがこっちに手を伸ばしていた。


「うわぁっ!」


 無我身中で鉄パイプをゾンビの頭部に向かってたたきつける。鈍い音と共にゾンビが倒れる。……最近はゾンビを倒すときは銃ばっかりだったからな……。


「とにかく漁ってよ。何か持ってないの?」

「あぁ」


 倒れたゾンビのポケットを漁っていると、ハサミが出てきた。でも、刃こぼれがすごい。とりあえず、他のゾンビから距離を取るために中村と逃げる。


「早く切って」

「くそっ!刃こぼれがひどすぎて切れないぞ!外れも仕込まれてるのか?」


 次のゾンビを倒そうにも、武器はこの刃こぼれの酷いハサミと、折れ曲がった鉄パイプだけだ。まだ鉄パイプは使える。だが、ゾンビは集団で集まっているせいで1体倒そうにもあれだけ固まっていたらどうしようもない。


「どうするの!?」

「お前も考えろよ!」


 窓から見てる人影が少し増えたような気がする。マジでこの学校には性格が悪い奴ばかりいるみたいだな。


「フェンスを上って2階から侵入しようよ」

「……お前縛られてるから無理だろ」

「ハサミでもうちょっと頑張ってみてよ」


 ゾンビが来るまでもう少し時間がかかる。ハサミを今度はノコギリのようにして使う。……少しは切れてるか?切れてるな。そのまま続けていると、半分くらいまで切れた。あとは力ずくで……。


「切れた!」

「よしっ!早く逃げよう」


 反対側まで逃げると、フェンスを上ろうと足をかけると、突然銃声が鳴り響いた。そして、上ろうとしていたフェンスの向こうの壁に銃弾が当たった。これは……上るなってことか。一体どうすればいいんだ?


「次上ろうとしたらさすがに撃たれるよね」

「多分」


 さすがに、体力的にいつまでも逃げ続けることも不可能だ。……なんか臭ってきたぞ?


「何か臭くないか?」

「うん。これってガス?」


 なんでガスの匂いが?ガスなんてとっくの昔に供給は止まってるだろ。そんなことを思っていると、中庭の反対側が爆発した。


「うわあぁあ!」

「きゃっ!」


 中庭の中心まで来ていたゾンビも爆発の時に飛んできた破片や爆風で倒れている。校舎の方では叫び声や泣いている声が聞こえる。


「何が起こったんだ?」

「とにかく、逃げようよ。今ので校舎の一部が崩れて中に入れるよ」


 爆発の影響で崩れた壁から校舎の中に入った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ