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60話 カー用品店

「道順わかるの?」

「知らん」


 カーナビやスマホ無しで、愛知県から石川県まで行けるわけないだろ。高速道路なんてまともに使える区間なんて少ないからな。


「高速は使わないぞ。今までは偶然使えてたけど、事故車両でふさがれてる可能性が多いからな」

「それには賛成。今まで高速でいい思いしてないからね」

「コンビニか本屋で地図を手に入れるぞ」

「別に、カー用品店でカーナビを手に入れる方法もあるんじゃないの?」

「そうだな……そっちの方がいいかも」


 確かに、カーナビのほうが本よりも便利だし、取り付けも、見栄えさえ気にしなければシガーソケットから電源を取ればいいわけだ。問題はカー用品店を探さないと。それに、ガソリンも入手しないといけない。さすがにここら辺のガソリンスタンドはゾンビが邪魔で無理だ。どこか峠道にあるようなガソリンスタンドを探さないと。……もしかしたらガソリンスタンドにカーナビ置いてないかな?


「とりあえず北に向かって」

「北ってどっちだよ」

「あっち!」

「そっちでいいのか!?」


 中村が指さす方に向かう。交差点を曲がると、トラックが道をふさぐように倒れていた。この道はダメそうだ。バックして戻る。


「思った以上にゾンビは少ないね」

「そうか?そうは見えないけど……」


 片側2車線の道にゾンビが数体いる程度だ。まぁ……少ない方か。道も放置車両が少なくて走りやすい。これでも数万人規模の街なんだよな。

 そのまま走っていると、カー用品店が見えた。なんともまぁ都合のいいことだ。


「ほら、行くよ」


 駐車場に車を入れると、1台くらいしか駐車場には車が止まってなかった。ピットのほうを見ると、車がリフトに乗ったまま放置されている車が数台ある。床には工具が散乱していて、慌てて逃げたのがわかる。ゾンビの姿は見えない。というか、ピットの奥の方は真っ暗で見えない。


「私、こういう店始めて」

「海外にもカー用品店くらいあるだろ」

「車なんて興味ないから、行ったことない」

「それは失礼。中村は?」

「前の彼氏が車いじり好きでよく来てたよ」

「彼氏いたのか。知らなかった」

「かなり前に別れたけどね」


イザベラが床の工具を拾ってみている。


「これ武器にならないかな?」

「無理だろ。リーチが短すぎる」


 大きめのスパナがあればいいけど、車の修理でそんな大きなスパナとか工具使わないだろうしなぁ……。本当はバールとかがいいんだけど、そんなものあるわけないか。


「タイヤとか変えなくて大丈夫?タイヤならそこにいっぱい積んであるよ」

「それは大丈夫。前にタイヤを外しただろ、その時に溝の確認はした」


 どうせ、どこかにぶつけて廃車になる方が早いだろうけどな。そんなことよりも、明かりが欲しい。どこかにライトくらい置いてあるだろ。


「ライトが欲しいな」

「そうだね……でも、ライトなんて並んでるの見たことないよ」

「いわれてみればそうだな。ピットのほうにあるかもしれない。イザベラ、ちょっと見てきてくれよ」

「なんで私……。まぁ、いいけど」


 イザベラがカウンター奥の扉へと消えていった。さて、カーナビ売り場はどこだ?


「あの奥にあるのってカーナビじゃない?」

「お、いっぱいあるな」

「でも、ダッシュボードに取り付けるタイプはないね」

「よく探すぞ。隅の方に置いてあるかもしれないだろ」


 前に並んでいる高そうなカーナビ……いや、実際に値段を見ても20万は越えてるものばかりの裏に、ダッシュボードの固定タイプが並んでいた。と、言っても2種類しかない。2つとももって行けばいいか。


「さて、イザベラの様子でも見に行くか。あいつ、ライト探すのにどれだけかかってんだよ」

「もしかしたら、ゾンビに食べられてるんじゃない?」


 ガシャァァン


 突然、大きな音が響き渡った。まるで車が衝突事故でも起こしたような音だ。本当に何してるんだよあいつは!?


ピュイピュイピュイ


 すぐに電子音が大音量で聞こえ始めてきた。この音は高そうな車についてる盗難防止装置の音だ。店の入り口まで行くと、すでにゾンビが2体入り口付近にいた。この音で、もう集まってきたのか。すぐに拳銃を構えてゾンビの頭にめがけて撃つが、当たらない。


「下手くそ!」


 横からイザベラがゾンビ2体を散弾1発で倒した。それに比べて、俺は今ので何発外したんだ?確か、3発ほど撃ったはずだ。……マジで射撃の腕は上達しない。そんなことよりも、ピットでイザベラは何をしてたんだ!?


「おい!何してたんだよ!」

「ゾンビがいたから殴り倒したら、リフトアップしてあった車に当たって車が落ちたの」

「……説明は後にして!早く逃げないとゾンビが集まってくる!」


 そうだ。中村の言う通りすぐに逃げないと。この盗難防止装置の音でゾンビが集まってくる。いや、もうすでに集まってきている。入口から見える駐車場にはすでにゾンビが集まってきている。いつまでこの音はなってるんだ……。


「入口から入ってきてる!」

「この音止めれないの!?」

「音が鳴っている車のバッテリーを抜けば止まるはず……」

「行くよ!近づいてくるゾンビは私と中村さんで対処するから」


 イザベラが入口から入ってきたゾンビを吹き飛ばした。そのあと、散弾をリロードしている。3人でカウンター奥にあるピットの出入り口からピットに入ると、奥の方で大きな音を出している車がリフトから落ちた状態になっている。さっさとボンネットを開けてバッテリーを外さないと。


「中村さん!入ってきた扉閉めて!」

「閉めた!イザベラさん!後ろ!」


 イザベラが振り返るのと同時に散弾をゾンビの頭に食らわせた。ゾンビは後ろにのけぞって後ろの工具箱をなぎ倒しながら倒れた。そんなのを見てる場合じゃない。リフトから落ちた車の運転席のドアを開けようとするが、ドアが変形してるのか中々開かない。


「早くして!」

「わかってる!ただ、ドアが開かねぇ!」


 もう、開けるのは諦めだ。拳銃の銃床部分でサイドガラスを叩き割って体を伸ばしてハンドル下にあるボンネットを開けるレバーを引いた。


ガコン


 ボンネットが開いた。すぐにボンネットを開けると、バッテリーを見つけた。バッテリーにつながっている端子を外すには工具がいるが、こんな状況で探している暇はない。拳銃で撃って壊すか。拳銃の銃口をバッテリーの端子に向けて撃った。バッテリーから液体が飛び散った。そのあと、電子音が止んだ。

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[一言] 30行目 「私、こういう店始めて」 初めてです。
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