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39話 パーティ

あれから2日たった。特に何もせずに部屋で横になっている。たまに食事をするのにリビングに行くが、誰もいない。それぞれやるべきことがあるのだろう。……中村さんのところに行ってみるか。


 バイクを走らせていると、大型トラックが3台ほどすれ違った。トラックのフロント部分が血や、肉片がべっとりとついていた。ショッピングセンターに行って帰ってきたのだろう。その後ろには自衛隊の車が連なっている。その車にも血や肉片がついている。さらに銃弾の跡も大量についている。銃撃戦でもあったんだろう。

 どれだけの成果があったのか着いて行ってみよう。車列に着いて行くと、駅前で停車した。駅前には自衛隊員や、作業着姿の人たちが10人ほどいた。その中には最初に作戦説明をしてくれた自衛隊員がいた。


「こんなところでどうした?」


 俺のこと、覚えてくれていたんだ。


「ご飯でも食べようと思ってバイクで走っていたら、車列が見えたんで……作戦の成果が気になって」

「おお。お前の情報のおかげで作戦がスムーズにいったらしいぞ。食料品もいっぱい詰まってるらしいぞ」


 トラックの荷台が開くと、荷台には食料品が大量に詰まっていた。3台のうちの2台が食料品でいっぱいになっていた。もう一台には、衣類や、タイヤ、工具などが大量に積まれていた。荷台の端の方には韓国軍が持っていた小銃や、散弾銃が積まれていた。


「あの武器は?」

「ショッピングセンターで倒れていた奴らから拝借したやつと、付近に潜んでいたやつから奪い取ったものだ」

「戦闘があったってことですか?」

「そうだ。まぁ、向こうは全く連携取れてないから相手にならなかったらしいが」


 しばらくすると、フォークリフトで荷物を降ろし始めた。武器の方は自衛隊員が回収して車に積み込んでどこかに持って行ってしまった。このまま眺めていてもしょうがないな。……飯でも食べに行くか。


「これから暇か?」

「え?何でです?」

「実は、上の連中が集まって作戦成功のパーティが駅前のホテルであるんだ。本当はお前は呼ばれないはずだったんだが、一番今回の作戦で貢献してくれたからな。俺から参加できるように言っておこう」

「俺、スーツとか持ってないですよ」

「普段着でいい。ほかの連中も普段着だ。会場に入るときは浜田 浩司はまだこうじの紹介って言えば通してくれるようにしておく。19時からな」


 そう言い残してどこかに消えていった。さて、あと2時間ほどだ。……中村さんのところに行こう。とりあえず安否確認と報告だな。




 中村さんのいるビルにたどり着いた。そのまま、部屋に入ると、中村さんが暇そうにベットで横になっている。


「おかえり」

「ただいま」


 部屋の端に置いてある椅子に座る。


「話はある程度知ってるよ」

「そうなのか。一体誰から聞いたんだ?」

「風の噂。情報網を舐めないでね。それにしても海外の軍隊と戦ってよく生き残れたね」

「まぁ……それなりの犠牲も払ったんだけどな」

「そこら辺も知ってる。……時にはそういう選択を迫られる時もあるって」

「……俺もあの選択を正しいとは思っている。でも、俺は後悔しているのかもしれない。今でもたまにフラッシュバックするんだ。加奈ちゃんがこっちを見て「助けて」言ってきた光景が……」


気が付くと、両手が小刻みに震えている。震えを抑えようとすると、余計に手が震えてくる。俺が加奈ちゃんを殺したわけじゃない。俺が罪悪感を抱える必要はないはずだ。


「大丈夫。何かあったらここに来ればいいよ。私はずっとここで待っているからね」


 中村さんが横から抱き着いてきて頭を撫でてくれた。しばらく身を任せている間に意識がなくなっていた。





「……やばい!」


 目が覚めて部屋に置いてある時計を見ると、18時40分だった。


「……結構うなされてたよ」

「あぁ。ありがと。これから用事があるんだ」

「そう。気を付けてね。最近よくない噂も聞くから……」

「その噂を聞きたいところだが、今は時間がない。……用事が終わったら、また聞きに来るよ」

「うん。待ってるね」


 部屋を出て、バイクに乗るとすぐにパーティ会場に向かう。バイクを限界まで飛ばすと、何とかホテルに時間内にたどり着いた。ホテルの中に入ると、すでに受付に人が立っていた。よく見ると、首輪をつけいている。奴隷だ。その付近に浜田さんも突っ立っていた。必死に受付の女性を口説いているが軽くあしらわれている。


「お、時間ギリギリだぞ」

「すいません」

「行くぞ」


 浜田さんについていくと、会場の前にたどり着いた。会場に入る扉を開けると、会場の中には自衛隊員が30人ほどがすでに立食パーティをしていた。


「浜田さん!遅かったじゃないですか」

「すまんすまん」

「隣の人は誰ですか?」

「こいつか?こいつは今回の作戦で偵察をしてくれた人だぞ。こいつがいなかったら、ろくな装備もなしにショッピングセンターに行って韓国軍にやられていたかもしれないんだからな」

「そんなことないですよ。韓国の奴ら本当に訓練を受けたのかも怪しい動きでしたよ」


浜田さんが俺よりも若そうな自衛隊員だ。この人も何か特別な役職についているのだろうか?それとも、何かこの作戦で何か大きな手枯れでも立てたのか?若そうな自衛隊員が右手を差し伸べてきた。握手か。


「どうも、長野ながの さじです。私は偵察専門でやっています」

「偵察専門?でも、この前の作戦に参加してませんでしたよね」

「別の任務がありましたからね」

「別の任務?」

「……最近、突然変異したと思われるゾンビが名古屋に現れたと、名古屋駅にある避難所から救援要請がありましてね。それで私が偵察で行った時にはすでに壊滅していました。そして帰ってきたのが昨日です」


 突然変異って東京で出会った四つ足で走るゾンビみたいなやつのことか。……ちょっとトイレ行きたくなってきた。


「トイレってどこですか?」

「会場を出てすぐ右に行って突き当りだ」

「ありがとうございます」


 会場を出てすぐに右に曲がって進むとトイレがあった。個室に入ってゆっくりとしていると、誰かがトイレに入ってきた。しかも、数人だ。連れションか?


「それにしても、これで物資は安泰ですね」

「そうだな。しばらくは作戦もないだろう。奴隷連中も、大人しくしているおかげで治安も良いし」

「治療薬ってどうなったんですか?」

「さぁな。外から戻ってきた奴が連れてきた金髪の女が抗体持ちってことが分かってから上層部の連中が情報をシャットダウンしてわからねぇよ」


 ……イザベラの事だ。

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