次元の狭間の大戦
人間の母親に悪魔の父親。
その間に産まれたのが俺。名を工藤龍之介という。
この次元では2つの世界線が同時に存在するー
なんて聞いたら中二くせぇと思われるかも知れない。が、本当の話だ。
一方の世界を現世。
俺達が普段住んでいる世界だ。
そしてもう一つの世界。魔界である。
ここにはいわゆる悪魔と言われるものが住んでいる。
通常の人間はーというか、誰もこの2つの世界を行き来することはできない。
俺を除いて。
俺はなんせ人間と悪魔の子ー魔人なのだ。
2つの世界のバランスを正すため。
俺は2つの世界を行き来し均衡を保っている。
「兄さーん」
妹の声が聞こえる。
工藤さやか、13歳。
さやかは俺の母親が、人間の父親との間につくった。
人間の妹だ。
当然、俺の秘密は知らない。
「兄さんってばぁー」
俺を催促する声が聞こえる。
「はやく!はやく朝ごはんつくって」
「あぁ、、ワリィすぐ行くから」
わけあって俺の母親と妹の父親とは別で暮らしている。
フクザツな家庭というヤツだ。
俺はなれた手つきで卵焼きと味噌汁、サラダをつくる。
もう両親が家を出て行って1年もたつのに、この程度のものしか作れないが。
妹は、何も言わず残さずに食べていく。
「行ってきまぁす」
妹のほうが学校に行くのが早いので、一人。
誰もいない家に別れを告げる。
少しむなしいがもう慣れた。