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新世界で  作者: 前田浩二
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第七話

 掛けが届いてから遂に弓を引き始めた。最初は矢は無い状態で型の練習だけれども。

 イメージと違ったのは弦を握らないこと。てっきり掛けは細い弦を握る為にあるのだと思っていたけど、実際は親指の腹の部分にある出っ張りに引っ掛けるだけだった。親指の部分は木かな?で覆われていて伸ばしたままだった。


 次に棒矢(羽の付いていない矢)で巻き藁(以前から見ていた俵みたいな藁を束ねて縛った物)に向かって矢を放つ練習。初めて矢を放つ時は正直な所めちゃくちゃびびった。何故かと言うと、引き終わった弓から矢を放つ、弦を離してそのまま弦がまっすぐ戻ると…顔面直撃もしくは耳に当たりかねない。昔の弦が鉄線だった実戦の弓で耳が飛んだとかなんとか先輩に脅された。

 実際には実際はちゃんとやれば弦は自分の前を回る様な起動を描いて顔には当たらないらしい。正しく引ければ放ち終わった残心の時に弦は押し手の外側にきている。これを「弓返り(ゆがえり)」と言う。ちゃんと弓返りするのは押し手の弓の握り方「手の内」がしっかり出来ているからで、最初からずっと先輩が一番熱心に指導してくれているのは手の内だ。

「何でも最初が肝心で、ここでちゃんとやってるか手を抜くかで将来全然違ってくるから頑張ってね」

「最初に適当にやって癖になったら後から修正が難しくなるって事ですか?」

「そう。ある意味一番難しい所だけど、ここが将来差が付く所だから」

 

 弓道を始めて三年以内で行き着ける高校生の境地なんて言うのはたかが知れている。その中での出来てる出来ていないなんていうのは微々たる差かもしれないが、それでも最初から正しい努力、方向性で進めていくのは決して無駄ではないと言う方針らしい。

 高校の部活であるからには、一番周りにも分かりやすい実績は大会での成績になる。高校の弓道の大会では実際の所的に中りさえすればいいらしい。「正射必中」物理法則が支配する世界で正しく中るように組まれた理論を実践すれば中るのが必然である。「中る様に矢を放つのではなく、中ったから矢が放たれる」みたいな事を言った過去の偉人もいるらしいが、流石に高校生には無理だ。そこで正射からずれていても今の自分が最も中てられる射「中て射」なんて呼ばれたりする物に走る高校生は多いらしい。正射は全部がしっかりと出来てかみ合うからこそ中るのであって、全部を正しくできる様になるのは難しい。歪なバランスでも物理的に帳尻を合わせれば中ることは中るという路線に走るのは仕方が無いとも言えなくもない。

「一番簡単に大きく中りに直結するのは押し手だと思うの。手の内をしっかり作って押し手をきっちりできれば中りもついてくるわ。正射を目指して中りまで遠くなるわけじゃないから安心して」


 微妙に矛盾しているような気がしないこともないが、意識して進む方向は中る様にではなく正射であると言うことか。とにかく先輩の熱心な指導のおかげで、弦を顔面に食らう自体は避けられた。

 因みに男性より物理的に前面に出っ張っている物がある、先輩のような立派な物を持っていたりする女性には「胸あて」と呼ばれる胸部を守る装備がある。


 以降平日の放課後は部活棟裏で巻き藁に向かって練習が行われた。

そして週末、市営の弓道場に行き、遂に的に向かって練習をすることになる。

やっとGWが終わった…。肩と腰が痛いです。

投稿間隔が長くなった上に短くて申し訳ないです。

キャラを前面にと言うコンセプトで始まったはずの今作なのに、今回ほとんど説明だけじゃないか…

本作の弓道理論はあくまでも作者の解釈であります。そーなのかー程度に受け取ってもらって大丈夫ですw


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