プロローグ 話し合い
初投稿です。悪い点等は参考にしたいと思うので、ありましたら是非お願いします。
それでは、プロローグです。
田舎とも、都会とも言えないどこかレトロな町。神降町
神が降りるなんて書いてはいるけれど、実際に降りてきたところは誰も見たことがない。ただ、この町では神社とかお寺が大きくて、お祭りなどの行事は多い。その時に、神を一度招待するのだとか。それが何百年も続いているから、神降町。他にも、城の近くの町だったため城下町が今でも残っていて、たくさんの人が訪れている。緑も豊かで水も綺麗。観光客の評判もいい。だが、行きづらさのためか人は少ない。
「ある程度条件が揃っている人であれば、家賃も安いし引っ越しにはオススメだって! どうお兄ちゃん! これが私の集めた情報だけど、すっごい良くない?」
神降町、の説明を終え、椅子に座った我が妹は満面の笑みを浮かべた。俺はその姿に癒されつつも、情報を吟味する。
「確かに、歴史大好きな天子にはたまらないだろうし、俺もお祭りは好きだし、何より自然いっぱいてな所も魅力的。よし、俺たちの引っ越し場所はそこだ!」
俺がそう告げると、天子は「わーい!」と言って飛び跳ねた。俺はまたもやその姿に癒されつつ、良さそうな引っ越し場所が見つかったことにホッとした。
俺、神宮幸助と神宮天子は今年の春に住み慣れた故郷を離れ引っ越しをすることになった。
理由はいろいろとあるが、その割合は親が全面的に占めている。両親は、俺たちに引っ越し場所と住む場所、通う学校の決定権を委ねどこかへ行ってしまった。手続きなどはしてくれるらしいが、何とも子供任せな両親だ。だが、俺も天子も両親の仕事のことを理解しているので、とやかくは言わない。
それはそれとして、俺と天子は引っ越し場所を話し合っていたのだが、なかなか決まらなかった。そもそも、まだ二人とも次の春でようやく中学三年と一年になるのに、どこに住めばいいのかなど分からないのだ。
ずっと悩んだ挙句、二人の話し合いで「住みたいところに住もう」と決まり、アイデアを出し合った。それが今、ようやく決定したということだ。俺は小さな達成感を得ていた。
「ありがとうな天子。こんないい場所見つけてくれるなんて。」
「えっへへ。天子、少し頑張ってみました。」
そういって少し照れながら胸を張る天子を見て俺は今日も心が綺麗になっていくのを感じた。母親の髪の色を受け継いで、長く伸ばした銀髪。まだ少女らしさしかない無邪気な顔。だけどちっちゃな頃から見て、とても成長していて、俺は一種の感動を覚えた。
「天子、俺は一生お前の兄ちゃんだからなっ……!」
「どうしたのお兄ちゃん。当たり前でしょそんなの。てか、学校決めよーよ。ていっても、神降町に学校は少ないんだけどね。」
「綺麗なスルーを覚えた天子に感動すら覚えるよ……。」
天子に言われた通り学校を話し合って決めた。選択肢も少なかったため、二人とも神降中学校に転校することにした。一学年一クラスしかない学校だが、その方がクラスにも馴染みやすいかと思ったからだ。
中学校に近い空き家も探し、今度の休みに下見に行くことにした。その後も着々と話は進み、気づけばもうだいたいの事は決まってしまった。
「じゃあ、今日は寝ようか、天子。」
「うん、お兄ちゃん。おやすみ。」
そういって、それぞれの部屋に戻る。俺はベッドに潜ったはいいものの、なかなか眠れなかった。人生の中で初めての引っ越し。一体引っ越し先ではどんな出会いがあり、どんな物語があるのだろうか。
俺はワクワクしながらそんなことを考えていると、いつのまにか瞼が重くなり意識もぼんやりして、寝てしまった。
ある春休みの、二人の休日だった。
お引っ越しは大変です……。
一話分の文字数はもっと多くしていくつもりです。……つもりです。