赤ちゃん異世界転生を受け入れる。
結局、泣き叫んだ私に驚いたのかあの男は何もせずに行きました。もっとも、こんな木々しかないような場所に赤子を放置すれば結果は同じと考えたんでしょうね・・・。
そうして、私は冒頭のように"ほんぎゃぁーーっ!!!(誰か助けてくださーいっ!!!)"と、叫んだのでした。
うぅぅ、叫んだら余計にお腹がすきました・・・。
誘拐された夜から1日は確実に経ってますよね。ご飯たべたいです・・・。
暗い森の中に1人置いて行かれて、悲しくて怖くてどうしようもない気持ちになった"私"。転生してから今まで目を背けていた事実を理解してしまいました。
・・・"アレクシェル"として生まれてからの短い期間の中で、何となくここが"天宮りく"として生きていた世界と違うってわかっていたんだと思います。だって、明かりは蝋燭やランプのような物ばかりだったし、剣を持った人だっていたんだから。でも、認めたくなかった。外国に生まれていただけなら、いつか大きくなって"天宮りく"としてでは無くても家族や友達が幸せに生きているか、私が死んだ後どうなったのか知ることができると思いたかった。だからこそ何よりも、もう家族や友人達と会うことができない事実を認めたくなかった。
前世の私は、平凡な人間でした。だって、飛び抜けた才能があるわけでも無く、個性が強いわけでも無い、どこにでもいるような人間だったと思います。仕事だって、別に重要な役割が合ったわけでもないです。この言葉使いだって勤務するうえで勤務先の方針で身につけただけの物なんですから。面倒なことは嫌いで楽に生きていきたいのに、人に頼まれごとをすると嫌とは言えなくて抱え込んで、結局過労死してしまう・・・。でも、死んだ後に物語のような神様に会ったわけでは無いし、身を守る能力を貰った訳でも無くて、どうして"私"なんですか?どうして"私"が生まれ変わらなければいけなかったんですか?
"私"は、生まれ変わってから半年経ったこの日に初めて事実と向き合い、否定し、最後に受け入れたのでした。
つたない文章を読んで頂きありがとうございます。
主人公は家族や友人が大切でした。だから、会えないかもしれないという事実から目を背けていたんだと思います。急に新しい環境を受け入れることができる人もいるかもしれません。でも、彼女はそうではなくてこれから少しずつ異世界の人たちと出会っていくことでたくましく成長していけるんだと思います。