8歳児と笑う狼さん。
「狼さん、おはようございます!」
「ああ。」
次の日の朝、いつものように食事を持って部屋へ行って挨拶をすると短いですが返事が返ってきました。やはり昨日の夜の事は夢ではありませんでした。思わず緩んでしまう頬を自覚しながらも、いつも通り毒味を済ませます。少しは狼さんが歩み寄ってくれた事が嬉しくて仕方ありません。
思わずニコニコと狼さんを見つめてしまいます。狼さんの綺麗な銀色の髪は肩の辺りで切り揃えられ、朝日を反射して輝いています。瞳の色は透明感のある水色、・・・アイスブルーでしょうか、肌も雪のように白いし、顔の造形もお師匠様に負けないほどの美人です。朝から目の保養ですね・・・。
そんな風に狼さんを眺めていたのがばれたのか、不思議そうに顔を曇らせます。
「なぜ、そんなに見つめるんだ。」
「始めに狼さんを見つけたとき、本当に顔色も悪くて心配だったんです。
それがこんなに元気になってくれて良かったなと思っていたんです。」
私の言葉を聞いて狼さんは一応納得した様子で、食事を再開します。見つめ続けるのも、気まずくなり一旦外に出る事としました。
「狼さん、私は一度部屋の外に出ています。
食事が終わった頃に、いつも通り熱い布とサラシを持ってきますね。」
「承知した。・・・その。」
狼さんは何か言葉を続けようとしていますが、言いづらい事なのかはっきりしません。
「どうかされましたか?」
私が聞き返すと、白い肌をほんのりと赤く染めながら小さな声で何かを言います。
「悪かったな、・・・無視したりして。
世話をしてくれている事には感謝している、・・・ただそれだけだ。」
狼さんの言葉を聞いて私は本当に信じられない思いで一杯となりました。あの狼さんがお礼を言ってくれるなんて!
「狼さん・・・、どういたしまして。」
嬉しくて、私も笑顔で言葉を返します。本当に今日は良い事ばかりです。
それから数日間私たちはぎこちないながらも言葉を交わし続け、少しずつ話が出来るようになりました。
狼さんは、なにげに外へ出たかったみたいですが言い出し辛かったみたいです。夕方の日が暮れ始めた時間帯に一緒に庭にある家庭菜園へ行ってみる事にしました。家庭菜園には夏野菜がしっかりと生えています。雑草を引いたり、水をあげたり、なかなかの重労働です。あーやんとジェダに手伝って貰いながら、怪我人である狼さんには見守って貰う事にします。雑草を引いていると、思いのほか根っこの張り具合がしっかりしている物があり、私は全身の力を込めて引っ張ります。なかなか抜けませんが、頑張って引き続けます。そうしていると"ブチブチッ"と嫌な音がして、草の部分だけちぎれてしまいます。勢い余った私は思わずお尻だけでなく背中まで地面にゴロンッと倒れ込んでしまいます。
「っっ?!大丈夫か?」
見守っていた狼さんも心配してくれて近寄ってきてくれます。しかし、近寄ってきた狼さんは私の顔を見ると口元を押さえて何かに耐える様子になりました。
「狼さん?」
不思議に思ってゆっくりと起き上がり、ぱんぱんっと手でお尻の土を払います。
「くっ、ふふ、はははは。顔に土が・・・、く、草が頭でかつ・・ら、くく、みたいになってるぞ。」
「!!」
私は、急いで顔と頭の土と草を払いました。
「そんなに笑わないで下さいっっ!」
「ふふ、ははは。・・・くく、悪かったな。」
「うぅぅ。」
恥ずかしさに顔や耳だけでなく首筋まで、朱く染まっているのが自分でも分かります。その後、しばらく狼さんの笑いは収まリませんでした。
ですが、そのおかげか狼さんとの距離が近くなったように感じるのでした。
いつもありがとうございます。
昨日、ブックマークが60件になりました。はじめの頃はこんなにたくさんの方が読んでくれるとは思っておらず、とてもびっくりしています。これからも、頑張って更新していきますのでどうぞよろしくお願いします。




